アートコレクターが住む宿 京都のnode hotel(ノードホテル)で芸術を楽しむ

桑田 萌 桑田 萌

 京都市の中心地、四条烏丸からほど近い蟷螂山町。祇園祭が行われるなど伝統文化が濃く色づく街とは対照的な、現代風のデザインをした建物がある。中に入れば多くの絵画が飾られ、まるでギャラリーのようだが、これはホテルだ。「アートコレクターが住まうホテル」をコンセプト掲げている、その名は「node hotel(ノードホテル)」。マネージャーの中尾淳さんに、その魅力について話を聞いた。

 同ホテルは2019年夏にオープンしたばかり。京都は今、ビジネスホテルからホステルまで、多くの宿泊施設が立ち並ぶ激戦区だ。その中でも同ホテルを、中尾さんは「『コレクターズホテル』『アートホテル』と位置付けている」と話す。

 1階のパブリックスペースや各部屋には、五木田智央、井田幸昌、バリー・マッギーなど、国内外で注目を浴びるアーティストによる作品が飾られている。モノトーンの色調で心落ち着かせるような空間は、特徴的な作品たちを引き立てているようだ。

 当初はビジネスホテルとして建設するよう、オーナーの元にオファーがあったという。しかし京都にはすでにいくつも同様のホテルがあったため、「10年後やその先にも残るような、街の資産となるホテル」としての建設プロジェクトが立ち上がった。

「これから国際観光都市として存在感を増す京都で、どんなホテルを残すべきかを考えました。そこで、ニューヨークやロンドン、パリにあるような、アートを媒介として人々が集まるサロンのようなホテルだったんです」

 プロジェクトにニューヨーク在住のメンバーがいたことから、現地で盛んな現代アートを取り入れることに。空間にアート作品を飾ることで、新しい都市型のホテルが完成した。

 京都にはすでにいくつか「アートホテル」があるが、それらとの違いについて中尾さんはこう説明する。

「他のホテルは、アーティスト自身が部屋を作品のように設えたり、自身がプロデューサーとなるパターンが多いです。しかしnode hotelは、我々自身がアートの鑑賞者の立場としてアプローチしたホテルなんです」

 国内の作家による展覧会や、祇園祭に合わせてDJを招き、音楽イベントも開催してきた。

 「ホテルの名称にある『node』とは、インターネットの用語で情報が交わる点を示す言葉です。アートを愛する人、地域に住まう人、様々な人が集うことで、新たな人間関係や価値が創出されるような場所でありたいと思います」

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