「複雑な反応をされるファンの方もいるはず」。そんな不安をかなぐり捨てて、体当たりで挑んだ。
元AKB48の田野優花(27)が、人気コミックを実写映画化した『ぼくらのふしだら』に主演。大学受験のための時間を求めて"時間停止能力"を得るも、その代償として尋常ならざる“性欲”を与えられてしまう。
ハリウッド女優でふしだら研究
脚本を読んで衝撃を受けたのは人生初。「映画化するにあたり、原作にあるエロチックな描写にホラー要素もプラスされていたりして。演じる上で腹をくくる必要のある作品だと感じました」と難役に飛び込んだ。
撮影中はアイドル出身とは思えぬ重いトーンを貫いた。「きれいに映ることがないように撮影中はメイク直しもせず、どこにでもいそうなごく普通の女の子がまさか!?という意外性を取り入れました。その方がエロスと変態性をより感じられるはずだから」。落差が生むギャップに心を砕いた。
ふしだらシーンの参考作は、ナタリー・ポートマン主演のサイコスリラー『ブラック・スワン』だという。
「腰の上げ具合や女性ならではの曲線美を研究しました。“ふしだら”なことをする場面では変に慣れ過ぎた感じを出すのではなく、本能の赴くままにしているぎこちなさと乱暴さを意識しました」と見どころに挙げる。
まさか27歳でセーラー服を着ることになるとは。「実年齢と違う人物を演じるのも役者の魅力の一つ。27歳でセーラー服の学生役に抜擢していただけるなんて…。自分まだまだいけるぞ!という自信をいただいた」と照れ笑いだ。
すべてに感謝
過激な描写のある本作に参加するべきか否か逡巡していた時、知り合いの俳優からこう言われた。「私だったらその作品はNGかな」。この反応に田野は身をもって反発したくなった。
14歳から在籍したAKB48を卒業して早6年。第2の人生として選んだ俳優業はまだまだ志半ば。求められたら全力で応えたい。田野は本作に参加することで俳優としての強い意思をあらためて証明したかった。
「パブリックイメージや継続している仕事の関係もある中で、この作品の出演をOKしてくれた事務所の方々、そして私を主演に選んでくださった映画製作側の方々に感謝しています」
元AKB48だけれど
性欲を持て余す女子高生・結城美菜実として、様々なふしだらな場面に挑んだ。元アイドルという背景を持つだけに、賛否巻き起こるかもしれない。
だが、田野はどんな雑音にも揺らぎはしないだろう。
「AKB48時代からのファンの方の中には複雑な反応をされる方もいるかもしれませんが、俳優・田野優花としての全力をスクリーンで観て欲しい。今の私の最大限の覚悟を全て出し切ることのできた作品だから」