多くのサラリーマンが「定時で帰りたい」「飲み会には参加したくない」など、と口に出しては言いにくい悩みを抱えています。この口に出せない悩みを新入社員は、堂々と先輩社員に言い放ち、先輩社員は「今どきの若いモンは…」と頭を抱えることも少なくないでしょう。
漫画家の吉谷光平さんが描く、現代の職場事情を描いた漫画『今どきの若いモンは』でも、上記のような新入社員のエピソードを『コスパ重視の新人がやらかしちゃう話』として掲載しています。同話はX(旧Twitter)でも投稿され、注目を集めていました。
取引先に新しい提案をしてもなかなか取り合ってもらえない先輩社員の麦田は、帰り道で落ち込みながらも、もっと良い提案ができるようにと意気込みます。しかし麦田と一緒に営業に行っていた新人社員の金松は、麦田の行動に対して「コスパ悪い」「メールで済むことでは?」「だるい仕事は今時古い」などと、馬鹿にしたような態度を見せます。
その後も金松は「残業は効率悪いので帰ります」と言って、あっさり帰ってしまう始末です。確かに定時で帰るのも効率よく仕事するのも間違ってはいないこと。しかし「何かが違う」と思う麦田でした。
一方、金松自身も雑用や覚えることの多さに苛ついている様子です。「なんで自分がこんなことを……」と思いながら、日々の業務をこなします。そんななか、麦田の担当顧客への注文商品が間違って届くトラブルが発生します。実はトラブルのきっかけは、金松が麦田に頼まれた発注チェックを疎かにしていたことだと判明し、金松は青ざめてしまうのでした。
同話ではリアルな新人の気持ちや、実際に起こってもおかしくないトラブルが描かれているのが魅力です。一体どのようにして作品のアイデアを思いついたのか、作者の吉谷光平さんに詳しく話を伺いました。
ー『コスパ重視の新人がやらかしちゃう話』はどのようなインスピレーションを受けて描かれたのでしょうか?
金松君は昔の自分のイヤな部分を大きくして描きました。なんでもかんでも効率の良し悪しで見てしまっていたし、口だけで、自分にとって都合の良いモノを効率が良い、と捉えていた気がします。
この漫画を描いた時より更に「効率重視をしなければならない」という時代になってきていると思うので、またそのあたりも描けたらなと思っています。
ー作中で特に難しかったシーンや表現はありますか?
金松君のミスをどういうミスにするかは結構考えた記憶があります。麦田が挽回可能な程よいラインを探しました。
ー女性の新人が仕事を取ってきて劣等感を抱くシーンでは、ジェンダーや職場文化に関する問題も垣間見えますが、これをストーリーに組み込んだ理由を教えてください。
コスパ、効率が口癖であれば本来は「結果主義」になると思います。本来、男性女性や若手先輩関係なく、結果を受け入れるべきで。しかし、金松君は結果を抜かれたのをすぐさま性別のせいにしてしまいました。口では立派なことを言っているのに逃げている、ということをなるべく辛辣に表現したかったのだと思います。
<吉谷光平さん関連情報>
▽X(旧Twitter)
https://x.com/kakikurage
▽今どきの若いモンは 連載サイト(サイコミ)
https://cycomi.com/title/87
▽今どきの若いモンは 電子書籍販売サイト(Amazon)
https://amzn.to/3XX1ahE