ものづくりの街、神戸市長田区。職人やアーティストが多く、近くの西区には神戸芸術工科大学などのアカデミックな場所もある。そんな街に、アートをビジネスとして発信しながら、アーティストも学生も地域住民もフラットになれる場が誕生する。「Gallery Salon Premiere(ギャラリーサロンプルミエ)」だ。
ギャラリーを立ち上げているのは、兵庫県在住の絵本作家、宮本明香さん。オーダーシューズのショップだった空間を、アーティストがものづくりにいそしむ様子を見ることができる「見せる工房」に生まれ変わらせる。ギャラリーの大きな特徴は、展示する作品を「商品」としてディスプレイするところ。通常のギャラリーはアーティストの作品を展示するだけだが、Peremiereでは手作りの一点物から大物の作品まで、その場で購入することができる。
「アートの世界では、作家が自ら積極的に作品を売り出すというビジネス的な考えは、敬遠されがちです。だけど、もっと作品を売ることで魅力を発信するべきだと思うんです」と宮本さん。作品づくりのワークショップ、セミナー等のイベントを行うことで間口を広げ、ギャラリーに来る人がアートを売ったり買ったりできることがねらいだ。
ギャラリー立ち上げのきっかけとなったのは、宮本さんが芸術大学時代に感じていた違和感。
「アートを商売にするなんて…」という業界ならではの固定観念に疑問を感じていたという。「作品を販売することで喜んでくれる人がいるなら、それは立派な社会貢献だと思います。それに、もっと市民の方々にアートを身近に感じていただきたくて」。
ギャラリーへの出入りは自由で、アーティストが創作活動をする傍らで、地域の子どもたちが絵を描いたり工作を楽しんだりする「地域の人といっしょに楽しむアート空間」にすることが、宮本さんのビジョンだ。
学生アーティストが気軽に作品発表を行えるよう、ギャラリーレンタルの料金も安価に設定。「学生と地域住民との接点になればと思っています」と宮本さんは話す。