電車内などで酒に酔って寝ていた乗客を狙ったウズベキスタン人の窃盗グループが摘発されたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は13日、当サイトの取材に対し、飲酒の機会が増える年末にかけて、さらなる警戒が必要となる「仮睡狙い」や「介抱盗」への対策を説いた。
窃盗グループは都内の電車内や駅ホームのベンチで寝ている人から、月に200回以上、財布を盗み、被害総額は約1000万円にのぼるとみられている。約1年前からJRの最終電車を狙って盗みを繰り返していたが、今年8月に盗んだとみられるクレジットカードでタクシー料金を払おうとした詐欺未遂の疑いでウズベキスタン国籍の男ら4人が逮捕された。
小川氏は「例年、年末になると増える犯罪です。1つは電車の中や駅のホームや公園などのベンチで寝ている人を狙う『仮睡狙い』。もう1つは、酔った人を介抱するふりをしてスーツの内ポケットなどを探り、財布を盗む『介抱盗』です」と、2つの手口を紹介した。
今回、摘発された窃盗グループが最終電車を狙っていたことについて、小川氏は「時間帯として乗客に飲酒している人が多いこと。そして、酔って寝ている人を介抱したり、起こそうとする人がいても不自然な状況でないこと。満員電車ではやれませんが、終電は比較的すいていることが多い。座席で狙った相手の隣で『大丈夫か?』などと介抱するふりをしていても、その人が知り合いかどうかは周囲に分からない。本人は爆睡しているわけですから。その間に財布などを盗られているわけです」と解説した。
小川氏は「日本では50年以上前からある手口。今回、それを外国人がやっていることに驚きました。12月の年末警戒では警察のマークが厳しくなりますが、その時期にあえてやるケースが増えてきています」として、防御策を解説した。
「セカンドバッグや手提げバッグにお金を入れないことです。お酒を飲む時はショルダーバッグをたすき掛けにし、バッグを前にすること。電車内で寝てしまいそうな時は、たすき掛けにしたバッグを前にして抱くような状態にしておくこと。介抱盗がそのバッグを引っ張った時に気が付くこともあります」
さらに、小川氏は「街を酔って歩いている人も狙われます。風俗店などの客引きを装って『お兄さん…』などと言って近づき、どこかに連れて行かれて強引に財布やバッグなどをひったくられる手口もある。被害者は泥酔していて追いかけることもできない」と路上で酔った人を狙う手口も指摘した。
最後に、小川氏は「何よりも、一番の防御策は『泥酔するまで飲んではいけない』ということです」と、根本的な対策を付け加えた。