長崎市の観光名所のひとつ、眼鏡橋近くにあるアルコア中通りのジュエリースタジオ「FIORETTO(フィオレット)」は、”世界に一つのジュエリー”を提案し、フルオーダーメイドのジュエリー製作、リメイクやリペア、彫金教室などを手がけている。ここで看板猫を務めているのがキジシロの「チョビ」(3歳、オス)だ。飼い主で同店を経営するジュエリーデザイナーの渋谷久美子さん(46)に、チョビのことを聞いた。
渋谷さん:この子と出会ったのは2年前、自宅から店への通勤途中、空き地に何匹かいた野良猫の中の1匹でした。顔が疥癬(かいせん)に感染し、毎日見るたびに症状がひどくなっていくんですよ。このまま放っておいたら弱って、やがては死んでしまうかもと思い、保護して病院へ連れていき、店で飼うことにしました。
すごく甘えんぼうで、だいたい毎朝、掃除などの開店準備が終わって、私がお茶を飲んで一息ついていると、私の膝の上に飛びのってきて、母猫のお乳を両手でフミフミするように私の両腕を服の上からモミモミします。1回につき20分から30分くらい。長いです。で、終わると、じゃあひと寝入りするかと(笑)。それが日課です。毎朝、そんなチョビに付き合っているので、仕事が終わる時間はおのずと遅くなってしまいます。
保護した当初、あるご家族から「この子を飼いたい」との申し出があり、トライヤルに一度出したことがあるんです。すると、「鳴いて手がつけられない」と1日で戻ってきてしまいました。そうしたら、それまで毎日甘えていたのに、しばらくの間、目は合わさない、膝の上にものってこなくなってしまったんです。ごめんね、もう二度と出したりしないからね、と謝りました。その後、また甘えてくれるようになったので、ホッとしたのを覚えています。
ある時、すぐ近くにある食堂のご主人が、食堂前のベンチにチョビを仰向けに座らせてみたら、背もたれに寄りかかり、お腹を見せながらじっとして、リラックスしているので、「おじさん座りだね」と評判になりました。猫好きのお客さんがやってきたときは、うちの店からベンチまでチョビを連れていき、そのポーズを披露することもたまにあります(笑)。