生徒と一緒に校則変えた「丸刈り強制やめた経緯参考にして」

どなどな探検隊(パートナー記事)

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当時の生徒たちの自画像。丸刈り(左)から自由化された頭髪に変わっていく=加古川市内
当時の生徒たちの自画像。丸刈り(左)から自由化された頭髪に変わっていく=加古川市内

 髪形に髪の色、果ては下着の色まで指定。冬場でもタイツの着用は認めない…。神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」には、そんな「ブラック校則」を巡る疑問が相次ぎ寄せられている。8月31日付朝刊では、勇気を出して“改正”を願い出た女子高校生が学校側に一蹴された記事も掲載。すると、兵庫県加古川市の現役教諭から一本の投稿が届いた。「生徒と信頼関係を築き、校則を変えました」。なぜ、可能だったのか、理由を尋ねようと取材に向かった。(鈴木久仁子)

 時はさかのぼること27年前、1992年のことだ。後に米大リーグのヤンキースで活躍した松井秀喜さんが、甲子園で5打席連続敬遠をされた年でもある。舞台は加古川市立志方中学校。まだ駆け出しだった男性教諭(56)は、同じ加古川市内で「男子の丸刈り強制をやめた中学校が出た」と聞いて衝撃を受けた。当時は丸刈りが当たり前だったからだ。

 「確かに時代の流れには合わない」。そう思う一方で、「もし自由化したら、高校入試で子どもたちが不利にならないか」との不安が頭をもたげた。先輩や同僚教諭とも相談した結果、「自分たちで決めさせる」ことになった。

 では、どのような進め方をするか。職員室は気持ちを共有し、綿密な作戦を練った。まずは前哨戦として「ディベート(討論)の練習」をさせることに。テーマに選んだのは、当時、物議を醸した「松井選手への敬遠は是か非か」。互いに意見をぶつけ合い、結論を導く練習をした。

 そして次に「丸刈りの校則を自由化するか否か。変えるなら、どういう形にするか」という本題に持ち込んだ。テーマを伝える際には「権利ばかりを主張するのではなく、きちんと決めてほしい」と付け加えることも忘れなかった。

 「それはもう、腹をくくりましたよ」と教諭。「中には茶髪やピアスのやんちゃな子もいましたから。どんな答えを出してくるか緊張した」と振り返る。

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