参拝して数珠玉集め…数珠巡礼人気 「ポスト御朱印」新定番になる?

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 お寺や神社を巡って御朱印を集めるのが、全国的に静かなブームになっている。しかし、多くの社寺が集まる京都市とその周辺には、ひと味違うお参りの仕方がある。寺を訪れて数珠[じゅず]の玉を一つずつ集める、その名も「数珠巡礼」だ。巡礼者は近年増えているといい、いずれ京都や関西の寺巡りの新たな定番になるかもしれない。

 数珠巡礼は、2008年10月に京都・滋賀の27の寺が始めた。当時は朱印巡りが今ほど人気ではなかったころ。集めた玉で巡礼者オリジナルの数珠を作ることが、寺院巡りの新たな魅力になるとの狙いだった。

 参加寺院は年々増え、現在は清水寺(東山区)をはじめ、豊臣秀吉と妻ねねの寺、高台寺(同区)や鳥獣人物戯画で知られる高山寺(右京区)、ハート型の猪目窓が「インスタ映え」すると注目されている正寿院(京都府宇治田原町)など、約80カ寺に上る。

 数珠巡礼会事務局によると、近年の朱印ブームの影響を受け、参拝者、参加寺院ともに増えているという。参拝者は、寺のある関西だけにとどまらず、関東方面から観光を兼ねて訪れる人も多いという。

 各寺に参拝すると、将棋の駒に使われるツゲで作った10ミリの玉か、宝飾品にも使用される「赤めのう」の8ミリ玉かを選べる。参拝者は、27や36、54や108など、思い思いの数だけ玉を集め、自作したり、業者に依頼したりして数珠を完成させる趣向だ。同会の滋野敬宣事務局長(59)は「それぞれのペースでお参りし、完成した数珠は仏様と参拝者をつなぐ心のよりどころにしてほしい」と話す。

 同会会長で聖護院の宮城泰年門主(87)は「都会の一角にある寺院も、郊外にある寺院も、数珠巡礼に加盟している。数珠玉のコレクターになるのではなく、一つ一つの寺を巡り宗教的雰囲気を感じ取って参拝してほしい」と説いている。

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