俳優の高杉真宙は、現在23歳。俳優生活は来年で10年目に突入する。SNSのフォロワー数は41万人超。20代が乱立する“若手俳優戦国時代”にあって絶大な人気を誇るが「活動10年…そう言われると気恥ずかしさの方が多いです。果たして10年という時間に値する経験値を自分は獲得しているのだろうか?と。実際『まだそこまでは…』という感覚が強いです」と控えめだ。
気恥ずかしさを抱えながらも継続できたのは、人との出会い。「人に助けられて生きていることを実感します。それがなければ俳優の仕事に面白味を感じることなく、辞めていたと思うから」。その言葉の意味を探る。
人気俳優を繋ぎとめたのは2つの作品。名脚本家・倉本聰の作による、仲代達矢主演のドラマ『學』(2012)。俳優として悔しさを初めて覚えた。「泣きのシーンでは、雨宮望監督から『本当に泣くまでセリフを言うな』と指示があり、10分くらいカメラを回してくれました。でもその時は全然泣けなくて。本当に悔しかった」と苦笑いも「初めてちゃんとした泣きの演技に挑戦させてもらい、しっかりと向き合ってもらえて。愛のある作品であり、監督でした。忘れられない経験です」と糧とする。
アニオタ浪人生を演じた映画『ぼんとリンちゃん』(2014)は、演じる楽しさを教えてくれた。「キャスト・スタッフ総勢10人いるかいないかの超小規模作品ながらも、3か月に渡る稽古期間と1ヶ月半の撮影。時間をかけてキャラクターを掘り下げ、演技を作り上げていく作業が本当に楽しくて」と昨日のことのように思い出せる。
役作りに対する意識も変化。「もちろんそれまでの作品も必死にやってきましたが、どこか“義務”という感覚があった。『ぼんとリンちゃん』で役作りに対しての向き合い方は変わったし、もっと色々な役をやりたいという意欲が湧きました」とプロとしての目覚めがあった。
最も重要な人との出会い、それは中学・高校時代の親友たちだ。「リフレッシュは親友2人と遊ぶこと。大人になっても多い時で一週間に4回くらい会うこともあるし、これからもずっと一緒にいるんだろうなぁと思える。学生時代の延長をずっとやっている感じ」と笑う。
仕事の話はしないし、親友2人も聞いてこない。気を使わないのが心地いい。「最近は『お前のせいでどこにも行けない!』とか『このニートめ!』とかイジられます。ヒエラルキー的には僕が一番下。ずっとバカにされています。『馬車馬のように働いているよ!』と言い返していますけど…」。俳優の肩書を脱がせてくれる親友の存在は、何物にも代えがたい。
主演映画『超・少年探偵団NEO-Beginning-』が10月25日に公開される。ここでも人に救われる。16歳で出演した特撮テレビドラマ『仮面ライダー鎧武/ガイム』(2013)の共演者・佐野岳(27)との再会だ。
「がっくんとの再会は、幼馴染に久々に会ったような恥ずかしさがありました。16歳当時の僕にとっては“二十歳のお兄ちゃん”だったので、大人になってからの再会は気恥ずかしさが勝った」と照れるが「当時と変わらずがっくんは明るく、お兄ちゃんとして現場を支えてくれました。その姿勢に、僕自身も成長した姿を見せたい!と頑張ることができました」と感謝しきり。人との出会いを大切にできるから、人から慕われ、人が集まってくる。人気俳優になるわけだ。