「JR新長田駅(神戸市長田区)西側の南北道路の名称は『若松線』『タンク筋』どちらが正しいの?」。神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に、こんな疑問が寄せられた。調べてみると、同じ路線でも、法律に基づいた名称のほかに、地元で根付いたニックネーム(愛称)が多数存在することが分かった。背景には歴史や住民の思い入れなどが深く反映されていた。(久保田麻依子)
早速、現地で確認してみると、同区若松町~二葉町の大通りに設置された看板には確かに「若松線(タンク筋)」との表記がある。
神戸市建設局管理課によると、道路には道路法による「認定道路名」が付けられているという。ただ認定道路名以外にも、地元で親しまれている通称や通り名も多いため、同市は1977年に有識者らでつくる「道路愛称懇話会」を設置。2015年までに、「タンク筋」を含む97件を道路愛称として定めたという。
「タンク筋」の由来は明治期、当時の神戸瓦斯醸造所が設置していた円柱状のガスタンクのことを指すという。数十年前に撤去されるまで、巨大なタンク群は地域住民のシンボル的存在として親しまれた。地元で呉服屋を営む男性(60)は「三宮に次ぐ副都心としてにぎわったときは、タクシーで『タンク筋まで』と言うだけで話は通った」と振り返る。
同市内にはほかにも、フラワーロード(同市中央区)は県道新神戸停車場線▽有馬街道(同市兵庫区)は県道神戸三田線、国道428号▽水道筋(同市灘区)は坂口石屋川線-などがあり、道路愛称の方が認知度の高い場所も多い。
兵庫県内でみると西宮市では昭和後期、市民による公募で「えべっさん筋」「甲子園筋」など47件の道路愛称を決めた。14年には文教住宅都市宣言50周年を記念し、新たに2路線を追加。担当者は「同じ場所でも呼び名が異なる場合もあるため名付けは難しいが、歴史やその土地ならではの事情を大切にしながら、ふさわしい愛称を付けている」と説明した。
身近にあるユニークな道路名、ぜひ探してみては。
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