ー曽我部さんは今回の映画出演に限らず、音楽の定額ストリーミングサービスをいち早く取り入れたり、昨年はバンドのイメージとは全然違うラップのソロアルバムを出したりと、何事にも非常に柔軟なスタイルで向き合っていますね。
「自由にできること、自由であることが大事だと思っています。『こういうことをやっていたら自分らしく見えるだろう』と自分で枠を決めない。自分が想像もしなかったようなところに、大きな可能性があるかもしれない。あまりこだわらず、限界も決めず、のびのびやっていたいですね」
ーそういう考え方ができるようになったのはいつ頃からですか。
「30代ぐらいからですね。1回バンド(サニーデイ)をやめた時期があって。『バンドマンの自分』ではなくなり、じゃあ自分って何なんだろうってなったときに、そもそも会社勤めもしたことがないような人間なのだから、ドロップアウトした自由人として好きなように生きようと決めました。それが30代の初め頃ですね」
ー今年で48歳。年齢的な面で、そういう生き方にしんどさを感じることはないですか?
「疲れたなあ、というのはそんなにないかな。新しいことばっかりなんで、飽きるってことはないですよね。毎日のようにライブが続くので、体力的なしんどさはもちろんあるけど、最近はそれもまた楽しいなと思っています」
ーサニーデイとしては、昨年、ドラムの丸山晴茂さんが亡くなるという大きな出来事がありました。
「それもあって今年はバンドはお休みなんだけど、その間、個人の活動を続けています。あとは、サニーデイの復活に向けて、本当に気合い入れて曲を作らなきゃなと思って、ずっとそれをやっていました。来年は絶対、サニーデイのアルバムを出して、全国ツアーをしたいと思っています。今、アルバムも8割くらいできています」
ーそれは楽しみです。一方で、実験的な要素も強いここ最近の作品が、古くからのサニーデイのファンに届いていない気がする、と、あるインタビューで仰っていました。
「僕は、それでいいと思っています。サニーデイのファンの人に『ちゃんと聴いて』って気持ちもないです。それをやっちゃうと、つまんなくなる。自分が好きなことをやって、もし気に入ってくれる人がいるなら嬉しいな、という感じです」
ー最後に改めて「アイムクレイジー」について。どういう人に届いてほしいですか?
「これは本当にひとつだけ。なにかやりたいけどできない、うまくいかない、夢があるけどそれに到達できていない、そういう人たち全てに、です。子育て、仕事、若い、年を取っている、とかは全然関係なく、そういう人たちのための映画だと思います」
ーオファーがあればまたお芝居の仕事も?
「もちろん、もちろん!なんでもやりますよ」
「アイムクレイジー」は、関西ではシネマート心斎橋(大阪)、京都シネマ(京都シネマ)で公開中。
◾️「アイムクレイジー」公式サイト http://www.synca.jp/iamcrazy/