まさかこんなことになるとは…。
全編神戸ロケ低予算超B級新感覚ホラーパニック完全自主制作アイドル映画「みぽりん」が、地元神戸の元町映画館で、9月7日から13日まで1週間限定上映されたのだが、なんと初日から最終日まで全て満席立ち見という輝かしい記録を打ち立ててしまった。劇場関係者によると、「1日1回、1週間限定」という同じ公開条件の作品としては、今夏4Kデジタルリマスター版が上映された超弩級の歴史的ドキュメンタリー映画「東京裁判」(1983年)に匹敵する反響という。一体どういうことなのか。最終日の劇場に潜入した。
「みぽりん、いかがですか」
「神戸で撮影した映画です、見てみませんか」
13日午後7時前、劇場前では最早おなじみとなったキャストやスタッフによるにぎやかな呼び込みが行われていた。そしてこの日も見事に全66席が完売。支配人の林未来さんは語る。「全ての回を満席にできたのは、なんと言っても彼らの頑張りがあったからこそ。上映が決まってからの数カ月間、フェイス・トゥ・フェイスでとにかく宣伝を頑張ってきたのは本当にすごいことだと思います」
「みぽりん」の予告編が初めて人の目に触れたのは、今年4月の元町映画館だった。6月には、2018年に大ヒットした「カメラを止めるな!」のスピンオフ映画「ハリウッド大作戦!」上映前に紹介されたことで、カメ止めファンらが“発見”。「神戸で変な映画ができたらしい」という情報がTwitterで拡散され、知名度と期待値がぐいぐい上がっていった。7月のカナザワ映画祭では「期待の新人監督」で観客賞を獲得。平行して松本大樹監督やキャスト、スタッフらが「ビラくばーる部」と称して神戸や大阪、京都、東京に散り、地道な宣伝活動に明け暮れた。
公開直前の9月2日には、神戸のライブハウスで劇中の声優地下アイドルが出演する異例のライブイベントを開催。神戸に支店を置くCDショップ、タワレコとHMVがタッグを組んで「みぽりん」を応援するというミラクルまで起こしてしまったが、その一方で、春ごろから休みなく飛び回り続けた松本監督は10kg近く体重が落ちたという。……心労?
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