映画愛あふれすぎるオールナイト、見学できる映写室…こんな時代に快進撃 神戸の名画座「パルシネマ」

黒川 裕生 黒川 裕生

1200円で2本立て、昔ながらの神戸の名画座「パルシネマしんこうえん」が最近妙に元気だと映画関係者の間で話題になっている。記憶に新しいところでは今年6月末にあった「タイタニック」の国内ラスト上映。県外からも大勢の映画ファンが押し寄せ、全国にパルシネマの名を轟かせた。一方、2015年7月から不定期で続けるオールナイト上映イベントは、これまで名画座にあまり縁のなかった若い世代も引きつけている。別の劇場のある支配人は語る。「以前はうちが圧勝していたTwitterのフォロワー数、そろそろ追いつかれそう…」

パルシネマは1971(昭和46)年に開館。ロードショーが終了した選りすぐりの2本を入れ替えなしで上映する名画座で、2代目の小山康之さん(74)が長く支配人を務めてきたが、5年ほど前、息子の岳志さん(35)が跡を継いだ。

岳志さんは高校卒業後、海上自衛隊員やゴルフ場のキャディとして働いていたという経歴の持ち主。映画は「人より少し多く見る程度」だったが、康之さんが数年前から「そろそろ自分の時間も持ちたい」と閉館を口にするようになったため、3代目として劇場を引き継いだという。

「単純にもったいないなと思ったんですよ」と岳志さん。「取引のある配給会社の人たちからは『こんな時代に映画館なんて大丈夫?』『やめといた方がいい』と冗談半分で忠告されましたけど」

同館の利用客の6~7割はシニア層で、作品にもよるが大半は女性客。岳志さんは女性用トイレを全て洋式にリニューアルし、個室のスペースも以前よりゆとりのある広さに改装した。さらには、「映写室の見学」という普通の映画館ではまずあり得ない取り組みもスタート。上映中は手の空いたスタッフがいれば映写室の中を自由に見せてもらえる。

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