旅行者は住民の敵なのか…欧州観光地で深刻化する問題と拒否反応 日本は大丈夫?

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スペインは世界2番目の観光大国。観光客らで混み合う空港=スペイン・マジョルカのソン・サン・ジョアン国際空港
スペインは世界2番目の観光大国。観光客らで混み合う空港=スペイン・マジョルカのソン・サン・ジョアン国際空港

 国際連合の専門機関、世界観光機関(本部マドリード)によると、スペインは昨年8300万人の外国人観光客が訪れ、フランス(約8900万人)に次いで世界2番目の観光大国となっている。一方で観光客増加により複数の軋轢(あつれき)が生まれたり自治体が法的制限を設けざるを得なくなる弊害も。観光客が増えて、今後も東京五輪などでさらなる増加が見込まれる日本で起こり得る現象について考える。

 2017年1月、バルセロナ市は中心地に新たなホテル設置を禁じる法令を制定した。さらに宿泊施設の密集している地区でその数を減らしていく方針を明らかにした。同時期、リゾート地として観光が主要産業となっているバレアレス州でも地域内の旅行者の受け入れ枠を現状の62万3000人として上限設定、今後は段階的に減少させて行くとしている。

 この現象は、捌けきれないほどの観光客がスペインへ押し寄せていることの証明になる。ドイツの大手旅行代理店TUI(トゥイ)はその代表責任者が「スペインは非常に旅行者であふれている」との見解を示すとともに「要求が高く価格も高いのなら別の観光地が利を得ることになるだろう」と、消費者へ他の選択肢を選ぶよう促すかのような発言をしている。

 同国では2016年、一般住居の観光利用による受け入れ可能数(約36万2500人)が初めてホテル(33万人)を上回った。ホテルの数字は4年前と比べて横ばいなのに対し一般住居の観光利用は17倍以上に膨れ上がっているだけに、近年スペインでの観光客増加の一翼を担ってきた。エアーB&Bに代表されるこの新興システムは、伸びが急激なだけに様々な形で弊害が出ているのも事実。地域住民の中に観光客が入り込む形になるだけに「旅の恥はかき捨て」よろしく羽目を外す行動に業を煮やし地元住民が抗議行動を起こすケースや未登録のままで住居を観光使用するなどの問題もあり、ホテル業界との軋轢も生まれている。

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