一方で、五輪で来日する外国人客への期待感もある。すかいらーく広報担当は「英語・中国語に対応したメニューブックや多言語に対応した店内Wi-Fiの整備、キャッシュレス決済などの環境整備を進めております。五輪で来日されたお客様に当社ブランドをご利用いただき、五輪後も引き続き当社の多様な業態を通じて日本の食体験を楽しんでいただけるよう、努力してまいります」とした。全面禁煙を踏まえた上で、「東京五輪後」の取り組みは既に始まっているのだ。
「煙のない五輪会場」を出ても、そこには「煙のない街」が広がる。その点において、喫煙者の立場から異を唱える人もいる。
実業家、プロレスラー、タレントとマルチに活動する蝶野正洋は「何万人も出入りするスタジアムが完全禁煙になっても、嗜好品のたばこでリラックスしたい人がその中にいないはずがない。それでも吸うなというのは行き過ぎだと思う。吸わない人たちの迷惑にならないように、喫煙スペースをしっかり作り、マナーを守って分煙することはできないだろうか」と問題提起した。
「酒はそれほど飲まないが、たばこは好き」という蝶野。「妻の母国であるドイツに行くと喫煙者は多い。東京でも受動喫煙がない分煙システムの構築を考え、分煙できる未来都市になって欲しい」と訴えた。
だが、東京五輪を機に、賛否両論をはらみながら、日本は「煙のない社会」になっていく。もう後戻りはできない。そんな現実がある。