その後、幼児を遊具に乗せた若い父親らしき人を発見。この男性は広場に隣接する1970年創業「喫茶プペ」の店主・原直樹さん。「保育園に行く前と帰ってから子どもをパンダに乗せるのが日課のようになっています」。近くにファミリー世帯のマンションもあり、子どもの遊び場になっているという。
一方、サラリーマンにも有意義な場所になっている。原さんは「営業マンの方などが携帯電話で話す場になっています。パンダの背中にカバンを置いて書類を探す人、パンダを真ん中にして3~4人で会話する光景も見かけました」と明かした。
直樹さんと共に店を切り盛りする母・原典子さんは「最初のうちは、外国人の方が来て写メを撮られていたんです。『シュールだ』ということで」と証言。渋谷のスクランブル交差点や新宿ゴールデン街を「観光地」として再発見した外国人観光客の感性は、この場の魅力をいち早くとらえていたようだ。7月になって地上波のテレビ番組で紹介され、国内各地から見学に来る人も。典子さんは「滑り台やブランコがなくても、これだけで十分。街の中で『癒しの風景』になっています」と語った。
最後に、なぜパンダで、キンキンなのか。肝心なことを同機構に尋ねた。
-なぜパンダか。
「平均台、ブランコ、ジャングルジムといった案も出ましたが、安全性や管理面を考慮し、また、上野動物園でパンダのシャンシャンが生まれた後で話題になっていたことや、カンダパンダと韻を踏むダジャレから、パンダの遊具になりました」
-「キンキン」という名前の由来は。
「神田錦町の『錦(キン)』と、ご近所つきあいが活発になるようにとの『近(キン)』をつなぎました」
-今後、他に何か設置する案は。
「この土地は都市再生事業を行うために所有しており、事業化までの一定期間、 暫定的に広場として地域開放しているものです。今後は、一緒に来られる保護者のことも考慮して、ベンチ等の設置も検討しております」
パンダだけの風景を見たければ今のうちに。それにしても「キンキン」が「錦近」だったとは…(錦は想定していたが)。聞いてみるものである。