いつも逃げ遅れるどんくさい子猫、保護されて、すっかり甘えん坊猫に

渡辺 陽 渡辺 陽

お母さん野良猫が、ある日子猫を連れて庭に来るようになった。エサを食べにくるのだが、人を見ると逃げてしまう。ところが、1匹の子猫は、いつも逃げ遅れていた。逃げ遅れるのには、理由があったのだ。 

逃げ遅れるサワラちゃん

山口県に住む橋本さんは、ツナちゃん、ウニくん、コハダちゃん、3匹の保護猫を飼っていた。飼い猫とは別に、ちょくちょくエサを食べにやってくる1匹の野良猫もいた。2018年11月30日、その猫が、3匹の子猫を連れて庭に現れたが、2匹の子猫は、人が近づくとクモの子を散らすように逃げて行った。どんくさいのか何なのか、なぜかサワラちゃんだけが、いつも逃げ遅れた。橋本さん宅のすぐ裏手には線路があり、危ないので保護したという。 

サワラちゃんは片手でひょいと抱っこすることができた。当初、橋本さんはサワラちゃんの里親さんを探そうと思っていた。 

左後ろ脚がない!

しかし、保護した後、サワラちゃんを譲渡しなかったのにはわけがある。獣医師に診てもらうと、虐待されたのか、何かに挟まって切断してしまったのかは分からないが、後天性の原因で左後ろ脚がなかったのだ。トイレをしても転げてしまうので、手足が便にまみれることもしばしば。野良猫時代に逃げられなかったのも脚のせいだった。

「何があったのか分かりませんが、とにかく生きていてくれたことに感謝しています。脚のことでたびたび通院しなければならず、世話も大変なので、譲渡サイトで募集はしてみたものの、これは譲渡できない、自分で飼うことにしようと思ったんです。遊んでいる時に脚がない方の左脚を床に打ち付けたり、擦ったりして骨から血が出るので、骨が出ている左脚を傷つけないように服を着せています。脚の経過を診てもらうために、1~2カ月に一度は通院しています」 

「保護して初めて脚のことを知るまでは、いつも逃げ遅れるので、猫にしたらどんくさい子だなあ、と思っていました。左脚がないことと関係しているのかどうか分かりませんが、人を異様に怖がりました。保護した時も、たった700gしかない小さな体で精一杯威嚇していました。しかし、夜になって1匹だけになると寂しがって鳴き続けるので、朝まで膝に乗せて寝かしつけることもありました。それが、いまでは私が移動すると必ず後を追いかけてきて、抱っこ、抱っことせがむんです」 

寿司ネタシリーズ

サワラちゃんは、お母さん以外の人は、いまだに怖いようで、一緒に暮らしている息子さんにはあまり懐いていない。最近ようやく、少し近づくことができるようになったという。 

橋本家の4匹の猫は、みんな海の幸の名前がついている。最初は、寿司ネタシリーズや海の幸シリーズにしようと決めていたわけではなかった。

ツナちゃんは、先代のハムちゃんとの繋がりを持たせようと、サンドイッチ繋がりで「ツナ」と命名。2匹目のウニくんは、見た目が綺麗なオレンジ色だったのでウニくんになった。3匹目のコハダちゃんは、「ツナ→ウニ」ときたので、やっぱり寿司ネタシリーズが良いと思い、コハダの模様とキジシロの模様が少し似ていたので、コハダちゃんになったそうだ。4匹目のサワラくんも、サワラの模様に似ていたからサワラになった。

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