乗用車やトラックがひっきりなしに通る大きな幹線道路。その端っこにダンボール箱に入れられた子猫がいた。偶然にも、そこを通りかかった奥田さんの長男が、だんごくんをみつけた。
幹線道路のすぐそばに捨てられていた茶トラの子猫
大阪に住む奥田さんの長男は、8年前の5月8日、雨がしとしと降っている夜、1匹の子猫を保護した。
「息子が、DVDのレンタルショップに行くために、いつもは通らない道を通ったら、子猫がニャーニャー鳴く声がしたそうです。声の主を探すと、車がひっきりなしに通る幹線道路のすぐそばにダンボール箱が置いてあり、中に子猫がいたそうです」
歩道ではなく、車道のすぐそばなので、いつひかれてもおかしくない状況だったという。「おいで~」と手を差し出すとすぐに寄ってきたので、そのまま保護したという。
「じつは、当時15歳の息子は、以前から猫を飼いたいと言っていて、よくペットショップに猫を見に行っていたんです。この日は、いつもと違う道を通ったら、偶然子猫に出会ったというのですから、運命だったのでしょうか」
長男は、子猫がまん丸の目をして丸くなっていたから、「だんご」という名前にした。
「だんごは、保護当時生後1カ月くらい。すごく人懐っこい子で、よく息子の枕元で丸まっていました。たぶん、誰かに飼われていたんだと思います。翌日、動物病院に連れて行ったのですが、何か体に悪いものを食べていたようで、しばらく下痢をしていました」
もうペットは飼わないと決めていたけれど
奥田さんは、実家にいる時に猫を2匹、犬を1匹飼っていたことがあった。なかでも1匹の猫は、一緒に成長してきた感じだったという。
「主に世話をしていたのは母だったのですが、私もペットロスになってしまって、職場で仕事をしていても涙があふれてきました。私にとって、動物はペットではなく家族なんです。いつもそばにいたペットがいない。心にぽっかり穴が空いたようでした。その時のロスがきつかったので、結婚しても二度とペットは飼わないと思っていたんです」