鹿児島県の鰹節の産地としても有名な町、なぜか野良猫がたくさん住み着いているのだが、佐藤さんのご主人の実家にも猫が来ることがあった。ある時、倉庫のダンボール箱の中で母猫が子猫を出産した。
民家の倉庫で産まれた子猫たち
鹿児島県に住んでいる佐藤夫妻は、大の猫好き。何匹もの猫を保護してきたが、その中に親子の猫がいた。
2007年4月末、ゴールデンウィークでご主人の実家に帰省していた佐藤さん。妻の百合子さんにお嬢さんが「お母さん大変!」と言うので倉庫に見に行くと、ダンボール箱の中に猫がいるのを見つけた。そっと近づくと、母猫はさっと逃げていき、箱の中には産まれたばかりの2匹の子猫がいた。
しばらくそのままにして様子を見ていると、母猫は子猫たちのもとに戻り、授乳していた。母猫は、だんだん百合子さんに慣れてきたが、ボーダーラインを超えて近づくと、シャーッと威嚇してきた。
ご主人の達也さんは実家で仕事をしていたので、エサやお水を与えながら、できるだけ猫たちを刺激しないよう遠巻きにして見守っていたという。
母猫は子猫たちの世話をよくしていたが、佐藤さんは、子猫たちが立って歩きだす頃、3匹を保護したという。
警戒心全開だった母猫も心を開く
ご主人の達也さんは、実家で仕事をしていたので、母猫も達也さんには慣れていて、3匹とも抱っこして保護できた。
母猫をまりん、子猫たちをモコとミッチと名付け、当時小学生だったお嬢さんは、子猫たちの体重や体長を測り、成長記録を自由研究の課題にしたという。子猫たちは、最初はミルクも飲んだが、キャットフードもすぐに食べるようになり、すくすく成長した。
「母猫のまりんちゃんは主人にとてもよく懐いていて、甘えていました。でも、私の肩にも乗るようになったんですよ」
兄や母猫がいなくなっても健気に生きるミッチくん
残念ながら母猫のまりんちゃんは、2017年12月に10歳で亡くなってしまった。
モコくんは、元気な子だったが、心臓に持病があり、歩けなくなって血栓が詰まり、9歳で亡くなった。
ミッチくんは、人も大好きだったが、いつも兄弟猫のモコくんと一緒にいた。モコくんは動物病院で亡くなったので、いなくなっても気づかないようだった。ただ、母猫のまりんちゃんが家で息を引き取る時は、ずっと百合子さんと共に見送ったという。
親子、兄弟で保護されたのに、たった1匹残されたミッチくん。もう12歳になって、貫禄十分。後から来た他の保護猫たちを受け入れ、仲良く暮らしているという。