不法滞在ほう助罪で逆転無罪の画期的判決 前科付かず、法の濫用に警鐘

小川 泰平 小川 泰平
不法滞在ほう助罪で逆転無罪の画期的判決が下された
不法滞在ほう助罪で逆転無罪の画期的判決が下された

 本件裁判の主任弁護人の倉地智広氏(東京第一弁護士会)は私の取材に対して「同居していただけでは罪に問われないと、裁判所が明確にしたことには意義がある」と話している。起訴されると、99・9%は有罪と言われている中で、逆転無罪は非常にレアなケース。まだ最高裁が残っているので、最終的な結果は分からないが、2審の判決は意義がある。

 この韓国人男性は執行猶予となり強制退去処分になった。最低5年間は再来日できないといわれているが、5年後に来日しても入管で入国拒否が予想される。同居女性が無罪になっても、男性が強制退去になることには変わりないが、この無罪判決の意義は同居女性に罰金による「前科」が付かないことにある。

 最高でも10万円の在宅罰金。起訴されたからといって収監されるわけでもなく、黙っていれば、周囲にも分からないので、費用の掛かる裁判を起こさない者が多い。だが、罰金という形でそれは前科になる。今回、同居相手に「罰金=前科」が付かないという判例ができれば意義がある。これから、外国人を日本に呼ぼうという時代。無罪判決は、法の濫用に対しても、警鐘を鳴らした。

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