自宅で派遣型マッサージ店の女性従業員に乱暴したとして、東京地検は強制性交罪で俳優の新井浩文(本名・朴慶培)容疑者(40)を起訴した。新井被告にはどのような判決が予想されるのか。元アイドルで歌手デビューも果たした平松まゆき弁護士に今後の展開、また、性犯罪において被害者がこうむる2次被害などについて解説してもらった。
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強制性交等罪は5年以上の有期懲役刑であり、非常に重い犯罪類型とされている。逮捕直後より法曹関係者の間では「起訴されれば実刑」と言われてきたが、それは3年を超える懲役刑の場合には執行猶予がつかないためである。新井氏の場合も、減刑事由がない限り実刑になると考えられる。
減刑事由について、裁判上「被害者の落ち度」が指摘されることがある。実際、裁判員裁判において裁判官が裁判員に説明する際に用いられる「量刑データベース」なるものには「被害者の落ち度」という項目がある。このように聞くと、「被害者の落ち度」とは「ミニスカートを履いていた」とか「夜道の1人歩き」「男性と2人きりになった」などを想定する方もいるかもしれないが、それはまったくの時代錯誤で男性目線の見解というほかない。この項目が考慮されるとしたら以前にも同じ加害者から性被害に遭ったのに明確な同意の下について行ったなどの極端な場合であると考えられる。また、「被害者の落ち度」に関連して、一部では犯罪が成立しないと思われがちな風俗業においても、風俗やデリバリーヘルスで働く女性を被害者とする強制性交等罪(以前の罪名は強姦罪)が成立した例は多々ある。
ところでこの「被害者の落ち度」については裁判上のみならず、インターネット上でも指摘されることがある。今回の新井氏のケースでも逮捕直後には新井氏を非難する書き込みが目立った一方で、「いくら仕事とはいえ男性の家に1人で行くなんて」「出張マッサージといわれれば男性が誤解しても仕方ない」などの声が見受けられた。とりわけ性犯罪の場合、男性よりもむしろ女性のほうが、被害女性に対して厳しい反応をする傾向が見られる。このような被害者バッシングはなぜ起こるのか。