9月1日は「防災の日」。2018年は6月に大阪北部地震、7月に西日本を中心とした集中豪雨による土砂災害に見舞われ、防災への意識付けの大切さを痛感させられた。行政や団体、企業、学校などにとどまらず、個人レベルでも常に災害に対する備えが不可欠となる。まずは日頃から肌身離さずに携帯している人が多いスマートフォンに着目し、アプリを活用した対応策を紹介する。
東日本大震災の教訓
観光・防災アプリ開発のポケットシェルター(本社・東京)が開発し、17年2月からサービスを始めた「ポケットシェルター」を例として取り上げる。
同社は16年8月に設立。「東日本大震災では逃げ遅れた人が多かった。逃げ遅れを防ぐのはどうすればいいかと、いろいろな分野の方とディスカッションし、警報と連動して現在地と一番近い避難場所を表示する特許を取得しました。災害に遭ってオフライン(ネットがつながらない状態)になっても使えることが最大の特徴です」と、同社の広報担当は説明する。「より多くの人に使っていただきたい」と、今年5月1日から無料となった。
平常時は地図アプリとして観光・交通情報などを提供するが、非常時には「防災モード」に自動的に切り替わり、アラートを鳴らして速報・警報の内容を地図に表示。すぐに近辺の安全な避難場所へ誘導をスタートする。基本的にすべての機能をオフラインでも利用でき、事前に自宅や職場周辺の地図をダウンロードしておけば、インターネット接続がなくても、GPS(衛星利用測位システム)に基づいた目的地検索や地図表示、音声ナビゲート機能などを使うことができる。
また、「近くの避難所を知りたい」「病院に行きたい」「給水施設はどこ?」といった場合には、計18万件以上の施設をカテゴリーごとに検索・表示でき、施設名をタップするだけでその場所までの経路をすぐに確認できる機能もある。
災害時に身動きが取れない状況になっても、タブレット端末やスマートフォンの位置情報を元に自動的に安全性を確認し、近辺の安全な避難場所へ誘導する。音声ナビ機能で高齢者や耳の不自由な方なども使用でき、外国人観光客向けに英語、中国語(簡体・繁体)、韓国語で多言語対応もしている。