天下の名城である名古屋城。江戸時代に当時の最新技術を駆使して築城した。1945年の空襲で焼失するが、天守閣は戦後に鉄骨鉄筋コンクリート造で再建。2017年には老朽化や耐震性の問題に対応し、名古屋城の本質的価値の理解の促進を図るため木造での復元が決まった。なお、現在は耐震性の低さのため、天守閣への入場が禁止となっている。
細部にまで匠の技
来場者数としては、今年のGW期間が約17万人と、前年比で約6万人も増加。夏休み期間(7月下旬から1か月)でも約20万人以上が来場し、年間入場者数も前年より多いという。「多くのお客様にご来場いただき、大変喜ばしく感じています」と話すのは、名古屋城総合事務所の担当者。
実は3月には名古屋の“うまいもの“を集めた大型飲食施設「金シャチ横丁」が、正門と東門の前にオープンし、週末を中心に盛況。正門側の昔ながらの町並みに、みそ煮込みうどんやひつまぶしなどが味わえる定番の老舗がそろう。また、バルやダイナーなど新進気鋭の店舗が並ぶ東門側にも注目したい。
さらに6月には本丸御殿が10年にわたる復元工事を終え、寛永期の建物が公開された。一流の技術を注ぎ込み、在りし日の姿を忠実に復元したことに加え、日本画史上最大の画派・狩野派の絵師による障壁画や、徳川家光の上洛に合わせて増築された建物や装飾が見られるように。絢爛(けんらん)豪華かつ細密な彫刻や飾金具、天井の装飾など、匠の技が細部にまで宿っている。
「本丸御殿は約10年に及ぶ復元事業を経て完成しました。近世城郭御殿の最高傑作を間近で見学できるため、多くのお客様にご来場いただいているものと認識しています」と、名古屋城総合事務所として原因や背景を分析する。天守閣だけではない新たな魅力も、来場者数の増加への一因になっているのだろう。
天守閣の木造復元事業は、22年に竣工を予定している。変わりゆく城郭の風景に想いを馳せながら、名城の行方を見守りたい。
◆名古屋城 電話052(231)1700 9時~16時30分(本丸御殿は~16時)12月29日~1月1日は休み。入場料500円(中学生以下は無料)