明智光秀ゆかりの京都府福知山市が戦国最大のミステリー「本能寺の変」が起こった原因を50の説から選んでもらうオンライン総選挙を実施した。全国から3万5359票の投票があり、その結果は「本能寺の変」が起こった6月2日から「福知山光秀ミュージアム」公式サイトで発表。早速反響を呼んでいる。
戦国武将、明智光秀を名君とたたえ、地域をPRしてきた福知山市。歴史的大事件「本能寺の変」(1582年)が起こった6月2日から光秀が亡くなる14日にかけては、いわば強化期間となっている。
昨年は市内の主な場所に福知山限定の「明智光秀が話す自動販売機」を設置。これが大きな反響を呼んだ。人気イラストレーター諏訪原寛幸さんが描いたイケメンの光秀イラストをラッピングしたもので、福知山城本丸広場の自販機は、前年比4倍の売り上げを記録したという。
それもそのはずで仕掛けがユニークだった。硬貨を投入時、商品を選択時に、あのフレーズを聞くことができたからだ。
「ときは今!明智光秀、ここに見参!」
「敵は本能寺にあり!」
お金が足りないときには、各場所によって隠しフレーズが用意され「のぶながぁぁぁぁ!!」「ひでよしぃぃぃぃ!!」「ひろこどの…」と叫ぶ設定になっていた。
もちろん、光秀がNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」の主人公になり、脚光を浴びるようになったことを受けてのものだった。今年に入ってからはさらに力を入れ、1月に「福知山光秀ミュージアム」をオープン。ドラマで使用された衣装や小道具の展示をはじめ、若き日を過ごした美濃時代から「明智藪」に代表される治水や経済政策などの功績を振り返るスペースを用意していた。
ところが、新型コロナウイルスの感染拡大で3月11日から休館の憂き目に。そこで考案されたのが今回の総選挙企画だった。「本能寺の変」の原因について、ミュージアムで紹介している50の説の中から「これぞ」と思う説を選んでもらい、5月1~24日にかけてインターネット上で投票を募った。
応募総数3万5359票の中から栄えある1位に選ばれたのは「暴君討伐説」。これは正義のために信長を討ったとするもので4046票を集めた。2位は「羽柴秀吉黒幕説」(2513票)、3位は「怨恨(えんこん)説」(1866票)。10位はノイローゼ説(1110票)、50位は「近江土豪連合関与説」(48票)だったが、これだけ諸説あるのも戦国最大の歴史ミステリーといわれるゆえんだろう。
市の担当者は「メディアにもたくさん取り上げられていますし、コロナの影響を受ける中、おもしろい企画だったとお褒めの言葉をいただいています。光秀公が反逆者ではないことが1位になっているのもうれしい」と話す。
さらに、今回話題になったのが全投票者から抽選で130人に送られた“謀反お知らせはがき”。行政用の通知書を模したパロディはがきになっており「謀反に関する大切なお知らせ」というタイトルで、宛先は光秀が築城した福知山城を預かる家臣の明智秀満。「桂川集合」「部下等に内容をお見せにならないよう」など、その気にさせる記述もあり、圧着されたページをはがす仕様になっている。
市の担当者は「福知山城は光秀公が建てた中で唯一天守閣が残っているお城。祭の掛け声のどっこいせ~どっこいせ♪も400年前の築城のときに由来するもの。ミュージアムも6月1日から再開しています」とPRしている。
◇福知山光秀ミュージアム」https://www.city.fukuchiyama.lg.jp/site/mitsuhidemuseum/