コロナ感染者増加の今、二条城でイベント 感染対策は十分? 主催者に聞いた

天草 愛理 天草 愛理
二条城のライトアップの様子

 新型コロナウイルス禍の今、夏祭りや花火大会が相次いで中止となり、例年になく静かな夏となっている。そんな中、世界遺産の二条城(京都市中京区)でこのほど、夜間イベント「二条城×ネイキッド 夏季特別ライトアップ2020」が始まった。京都府をはじめ全国各地で新規感染者が増加傾向に転じ、イベントに対する批判の声も上がっているにもかかわらず、主催する京都市などはなぜ実施に踏み切ったのだろう。関係者に聞いた。

 イベントは、京都市と映像制作会社「ネイキッド」(東京都)などでつくる製作委員会が主催している。重要文化財の唐門や名勝の二の丸庭園をライトアップするほか、落雷で焼失した天守閣がスマートフォンの画面上に出現するAR体験や、打ち上げ花火の映像を内堀の石垣に投影するプロジェクションマッピングも行う。プロジェクションマッピングは万華鏡のように次々と表情を変える花火が堀の水面をきらめかせる。

 スマートフォンを使って自宅から入城できるVRコンテンツ「NAKED NINJA Nijo-jo Castle」も販売中だ。忍者になって夜の二条城に忍び込むストーリーで、ふすまから虎が飛び出してくるなど迫力ある映像を楽しむことができる。

 華やかな演出の一方、インターネット上では「何で、こんな時期に二条城のライトアップ?」「今すぐ中止にしてほしい」といった疑問や意見も書き込まれている。全国で新規感染者が増加傾向にあるさなかの開催に不安を抱く人も少なくないようだ。

 「大変悩んだが、全ての社会文化活動をやめるのではなく、近隣の人に来てもらえるフェーズ(段階)だろうと考えて行うことにした」。主催者はそう説明する。

 感染対策も最善を尽くすという。1日あたりの来場者数を制限するほか、入場前の検温や手指消毒、マスク着用、京都市が運用する「新型コロナあんしん追跡サービス」の登録を呼び掛ける。ソーシャルディスタンスを確保するため、胸の高さで持つと直径約2メートルの円が地面に投影される「ディスタンス提灯」を1グループに1個貸し出している。

 京都市の元離宮二条城事務所は「考えられる対策は実施している。こういう状況下ではありますが、二条城に涼みに来て夏のひとときを楽しんでもらえれば」と話す。

 イベントは30日まで。

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