区役所で巨大な番号札!SNSで話題に 導入された本当の理由

北村 泰介 北村 泰介
大きな数字が記されたA4サイズの番号札。パウチされて再利用できる=東京・杉並区の高円寺区民事務所
大きな数字が記されたA4サイズの番号札。パウチされて再利用できる=東京・杉並区の高円寺区民事務所

 役所や銀行、郵便局などの利用者が順番待ちで手にする番号札。通常は小さい紙だが、「東京都の杉並区役所にはA4サイズの巨大番号札がある」とする投稿がツイッターで話題になっている。“裏取り”のために担当部署を取材した結果、その番号札は実在するものの、SNSで拡散している解釈とは微妙に違っていた。番号札が大きくなった「本当の理由」とは何か…。

 「番号札をなくす人、番号呼ばれても気づかない人が多すぎた結果、A4サイズまで巨大化したであろう杉並区役所の番号札」という文言と共に、大きく数字が記された番号札の画像が今月投稿され、「高齢者に優しい」「これは助かる!」といった反響が続いた。

 記者は今年4月下旬、私用で杉並区役所の窓口に並んだ。ボイスコール(自動音声で呼び出す整理券の発行機)から出てくる番号札は通常の小さい紙だったので、区役所に事実関係を確認した。すると本庁では大きいサイズの札は使われておらず、同区内では唯一、高円寺区民事務所のみにあることが判明。さっそく同事務所に足を運ぶと、番号札は通常の小さい紙だった。

 つまり、最初から大きい札を配るわけではないのだ。ツイッターではこの点に触れていなかったため、来訪者の全員が初めから巨大な札を手に待つという誤解が生じてしまう。では、巨大札はどんな時に使われ、その理由は何なのだろうか?

 担当者は「事務処理が一度で済まず、いったん引き取っていただく人に対して『もう少し、おかけになってお待ちください』という時に渡す札が大きいサイズなのです」と説明。「もう一度お呼び出しする時は名前を呼ぶことになりますが、『個人情報保護』という観点から名前を呼ばない措置として大きな札の番号を呼ぶ。それが一番大きな理由だと思います」と明言した。

 ちなみに番号は受付順でなくランダム。担当者は「各事務所ごとに工夫し、うちの場合はそれが大きな番号札だった。30枚くらいはあり、パウチして再利用がきくものです」という配慮も示した。

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