――万が一、狂犬病と思われる犬や動物に咬まれたり、かじられたりしたらどうしたらいいのでしょうか。
谷口:ただちに現地医療機関を訪れ、狂犬病ワクチンを接種してください。これを「暴露後予防」と言います。暴露後予防をすれば、ウイルスが脳に到達する前であれば、事後にワクチン接種しても助かる見込みがあります。ただ、狂犬病ワクチンは複数回接種しなければなりません。どれくらいの期間に何回接種するかにはいくつかの考え方があります。最も大切なのは(後述する「曝露前予防」をしていたとしても)アクシデントがあれば可及的速やかに現地の医療機関を受診することです。帰国予定があり追加接種を日本でおこなう場合は、現地の医師に紹介状を書いてもらうことが必要です。また、リスクの高い地域に渡航する場合は、出発前のワクチン接種(曝露前予防)も検討するのがいいでしょう。
――海外に渡航する前にワクチンを接種したほうがいいのでしょうか。
谷口:ワクチンを接種できるといいのですが、供給量不足のため、全員が接種できないのが現状です。流行地への旅行者や駐在者、出張者、研究者、獣医師など、優先順位を考慮した上で接種することになります。ただ、2019年の夏からは、海外式のワクチンを輸入して使えるようになるのではないかとの情報もあります。
ワクチンを接種していない場合、安易に犬に近づいたりなでたりしない、僻地や洞窟では、猿やコウモリなどの動物にも注意する必要があります。