川崎市多摩区で私立カリタス小学校のスクールバスを待っていた児童ら19人が殺傷された事件で、自殺した岩崎隆一容疑者(51)=同市麻生区=について、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は29日、デイリースポーツに対し、連日の現場取材を通して確信した犯行の様子や容疑者の心理などについて指摘した。
小川氏は事件発生の28日から一夜明けたこの日、午前7時から同9時まで現場を取材。同氏は「警察は、犯行時間となった午前7時40分頃の前後30分の間に現場周辺を通行した車両や歩行者に対し、『昨日も同じ時間に通行されましたか?何か見ていませんか?』等、昨日の様子を聞いていた」と“定時通行”といわれる捜査を通して目撃情報を集めていたと現場での捜査状況を語った。
また、無言で瞬時の内に犯行に及んだことにより、被害者などが容疑者に気がつかなかったことなどが明らかになってきた。
神奈川県警によると、周辺の防犯カメラに写っていた映像から、岩崎容疑者が最初の襲撃から自殺を図るまで、約50~60メートルの距離を小走りしながら次々と包丁で切り付けた時間はわずか「十数秒」とされている。
小川氏は実際にその現場に赴いたが、同氏は「立ち止まることなく、かなりのスピードで走らないと十数秒では無理。しかも犯行の時間帯はサラリーマンの通勤などで人通りも多い。人にぶつからないように、子供さんを包丁で切りつけながら走っていると数十秒はかかると感じた。本当に十数秒ということなら、相当、周到に準備した犯行を実現したことになる」と分析した。
岩崎容疑者の自宅から犯行現場まで直線距離で約4キロ。容疑者の自宅から最寄り駅の小田急線・読売ランド駅から3駅となる登戸駅で下車して犯行に及んだが、小川氏は「あと30分遅ければ児童の通学は終わっていた。この“時間”を読んでいたことに意味がある。第三者の誰でもよければ、時間にこだわらないわけで、自分に抵抗しない“弱者”を狙うために、その場所、その時間帯を事前に知っていた可能性が高く、現場の下見をしていたとも考えられる」と指摘した。