豊洲への移転は政策的な動きと認識しつつ、自身が育った築地への思いは強い。伊藤社長は「築地の場外と場内は対(つい)なんです。車の前輪と後輪のようなもの。片側(場内)が抜けたら、場外はどうなってしまうか。長い目で見ると、場外はダメになっていくんじゃないかと思っています」と危惧する。
だが、築地の再興をあきらめてはいない。豊洲に新店を出しつつも、築地の本店に腰を据えて営業を続ける。伊藤社長は「豊洲の方が将来性はあると思います。ただ、人間は、いい悪いは別にして、新しいものを見たがります。豊洲に行っていた人が『やっぱり築地がいい』って帰ってくるかもしれない」と近い将来、築地が再評価される日を見据えた。
ちなみにテリー伊藤から何か言葉をかけられているのかと尋ねると、「輝夫(本名)ですか?私の息子、弟にとっては甥に『一生懸命やれよ』とハッパをかけていましたよ」と笑顔を浮かべた。