安田純平さん会見で起きた“事故”とは?「30秒間の沈黙」に隠された不器用な誠実さ

北村 泰介 北村 泰介
帰国後初の会見に臨んだ安田純平さん=都内の日本記者クラブ
帰国後初の会見に臨んだ安田純平さん=都内の日本記者クラブ

 内戦中のシリアで3年4カ月にわたり武装勢力に拘束されたフリージャーナリストの安田純平さん(44)が帰国後初の会見を日本記者クラブで行ったが、一夜明けた3日も、ネット上では安田さんへの否定的な書き込みが目立った。一方、その生還を歓迎し、今後の情報発信に期待する声もある。賛否両論、根本的に考え方の立ち位置が異なる双方がいくら議論をしても平行線をたどる中、会見に臨んだ安田さんから“こぼれ落ちた”言動に注目し、その人となりや心理を探ってみた。

 記者との質疑応答で、安田さんに予期せぬ「沈黙」があった。

 最後から2番目の質問だった。「シリアで民主化運動の情報を聞いたか」と問われ、安田さんは少し困った顔になった。「(拘束中なので)民主化運動についての話を聞くことは難しいです」と答えた後、言葉に詰まった。眉間にしわを寄せ、何かを言おうとしてノドがひくひく、視線は遠くをさまよう。頭の中で記憶の糸を必死で手繰り寄せていることは伝わるのだが、なかなか言葉が出てこない。カメラのシャッター音だけが響いていた。

 後になってICレコーダーで確認すると、ちょうど30秒の「間(ま)」だったのだが、テレビやラジオなら“放送事故”である。隣席の司会者をはじめ、会場には「どうした?」という張り詰めた空気が漂い、体感時間はその数倍に感じた。それまでの質問にはスムーズに答えていただけに、想定外の質問だったのかもしれない。

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