彼女の母親が探偵を雇ってライブで芸を査定…下積み芸人たちに聞いた“悲惨な話”

北村 泰介 北村 泰介
「悲惨な体験」を語った後、芸人モードに切り替わる(左から)オオタケハルカ、スズメノナミダ、きみやす、シマダネズミ=都内
「悲惨な体験」を語った後、芸人モードに切り替わる(左から)オオタケハルカ、スズメノナミダ、きみやす、シマダネズミ=都内

 「次点」とした3人の証言を続けよう。

きみやすの証言※24歳のピン芸人。

 昨年、コンビで活動していた頃、婚活パーティーの余興にオファーがあった。ギャラはコンビで1万円、会場の飲み食い自由、時間は15分だったが、200人の参加者ほぼ全員がネタを見てくれない地獄の時間。会場で食べる暇もなかった。

 せめてギャラで帰りにうまい飯を食べようと考えていたが、渡されたのは1000円札1枚。「誰もネタ見てなかったから1万は渡せない。電車賃だけ」。自分は川崎、相方は所沢。会場の銀座までの交通費を合わせると2570円。1500円以上の赤字だった。

シマダネズミの証言※コンビ名「シマウマフック」。25歳。

 お金がなく、モヤシをご飯に乗せたものやバイト先のまかないを中心とした食生活。ある時、腹が痛くて近所の病院に行くと、レントゲンで「影がある」と言われ、大学病院を紹介された。2時間の精密検査後、医師から「大変申し上げづらいのですが…」と言われ、「ガン!?」とビビりながら続きを聞くと、「便秘です」。影は信じられないくらいに多い便だったようで、2万円も払って便秘を知らされただけだった。

スズメノナミダの証言※ピン芸人。芸歴5年目の26歳。

 芸人仲間が僕の財布から免許証を抜いて勝手に消費者金融のカードを3枚作り、100万円近くの借金をしていた。返済の遅延連絡で気付き、最終的に彼の家族が返済した。下積み時代は、はみ出してしまう人も多いことを学んだ。売れるまで堅実に深夜バイトは続けていこうと思う。

  ◇  ◇

 貧乏は当たり前、アルバイト生活で糊口をしのぐ芸人の世界。もがきながら、金では買えない経験をしている…と、フォローにはならないかもしれないが、厳しい現実と闘う彼らの目は生きていた。

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