連想クイズ芸人SAKURAI、マントル生活22年「これが最後」でブレイクの予感

石井 隼人 石井 隼人
どうしても伝えたいSAKURAI(撮影:石井隼人)
どうしても伝えたいSAKURAI(撮影:石井隼人)

「お腹、首、背中、両足…僕がお風呂で体洗う順番~!」。小気味よいギターのカッティング演奏に乗せて、誰にもわからないような連想クイズを歌う芸人SAKURAI(41)。サングラス、革ジャン、シャンペンゴールドのギターというROCKないで立ちで「みんなにどうしても伝えたいことがあるんだ」と始まるこのネタは『有田ジェネレーション』や『エンタの神様』『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』などで取り上げられ、自身初となるR-1グランプリ2020の決勝でも披露した。

ジワジワと注目を集める中でクイズ本『SAKURAIの“超難問”連想クイズ』(辰巳出版より発売中)を上梓。昨年秋までテレビ・ラジオに一度も出たことのなかった芸歴22年目の地下芸人。喜びもひとしおかと思いきや、意外な反応が返ってきた。「みんなにどうしても伝えたい」地下芸人の叫びとは。

大人しそうに取材部屋に入ってきたSAKURAIは「出版のお話をいただいた最初は、まったく乗り気ではありませんでした。有名アーティストの自伝本ならばまだしも、20年以上売れていない無名芸人のネタ本なんて誰が買うんですか!?」といきなりのネガティブ発言。事務所の先輩であるバイきんぐ・小峠英二やマネージャー、他のSMAの芸人達に説得されて、ようやく出版オファーに前向きになったという。慎重な姿勢の背後に長すぎた苦節の日々が滲む。

母親の反対を押し切り、高校卒業と同時に徳島から上京。コンビを結成するも上手くいかず、ピン芸人に転身した。不思議系キャラ、病人キャラ、ゾンビキャラと試行錯誤を重ねるも一向に芽が出ず。給料が出るような芸人の仕事もゼロ。気づいたら40歳目前だった。

「お笑いを始めた20代の頃は若手らしく野心もありました。それが20年も地下深いところで活動して箸にも棒にも引っかからないと、いい意味でも悪い意味でも湧き上がる闘志がなくなる。注目していただけて嬉しい一方で、あまりにも下積み時代が長すぎてひねくれてひねくれて…冷静にならざるを得ない自分がいます」と苦笑い。

バイきんぐ、ハリウッドザコシショウ、アキラ100%がいるSMA所属。導き出される答えは“遅咲きブレイク芸人の事務所~!”だが、SAKURAIは遅咲き人気芸人の中でも下積みの厚さが違うという。「下積みが長いということでザコシさんや永野さんと同じ括りにされがちですが、お二人はお笑い好きの間では超有名。それに比べて僕なんかは世の中もお笑い好きも知らない存在。ザコシさんが地上付近の地下芸人だとするならば、僕は地下中の地下、焼け死ぬ寸前のマントル芸人です」。さすが自虐も深みがある。

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