大阪・十三にある賃貸物件「ゴルゴ十三」のオーナーで歯科医の陳明裕さん(59)。ピン芸人日本一を決める「R-1」に12回目の参戦を果たしたが、あえなく1回戦で敗退した。今年から出場資格は“芸人のみ”のハズ…。そう、実は陳さんは「パンヂー陳」という名で芸歴14年のよしもと所属芸人でもあった。新年早々に夢が砕かれたが、マルチに活躍するこの男、やり遂げたいことはまだまだ他にもあるという。
「うちのパンヂー陳がお世話になっています」
いったい、いくつの顔を持っているのか。賃貸物件「ゴルゴ十三」のオーナー・陳明裕さん。その本職は北千里と西宮北口に「めいゆう矯正歯科」を構える歯科医で02年から毎夏、米ニューヨーク州立大バッファロー校の客員教授として教壇に立っている。
年末、その陳さんから突然、「R-1」に出場するという知らせを受けた。直後にはよしもとクリエイティブエージェンシーの担当マネジャーから「うちのパンヂー陳がお世話になっています」と連絡が。
「エェ~、いまなんとおっしゃいました。なに~、パンヂーチン?知らんで」と最初はチンプンカンプン。理解に苦しんだが、しばらくして謎が解けた。そして今年も日本一のピン芸人を決める「R-1」に出場するというので会場をのぞいてみた。
ご存じの通り、1回戦の持ち時間は2分間。パンヂー陳は白衣姿で胸ポケットに歯ブラシをさし、ネタを披露した。画用紙の代わりにノートパソコンに絵をかき、“歯科医なぞなぞ”をテンポよく挙げていく。
「外した入れ歯がめちゃめちゃくさい画家はだれでしょう、というなぞかけ。はい、はずしたはくさい。はい、そうです、葛飾北斎」と持って行き、そこそこの笑いをとったが、いかんせんノートパソコンでは画面が小さく、客の反応は微妙。あえなく、予選落ちとなった。
「今年一番の目標にしていたんですが、残念です。また来年チャレンジします」