可愛いなと思って猫を飼い始めたら、眼がかゆくなったり咳が出たりして、病院に行ったら「猫アレルギー」と診断された。そんなことになったら愛する猫を手放さないといけないのでしょうか。太融寺町谷口医院(大阪府)の谷口恭院長に話を聞きました。
どうしても猫を手放したくないという患者さん
-猫アレルギーになっても、猫を手放せない人は多いでしょうね。
谷口恭院長(以下、谷口):離婚をきっかけに猫を飼い始めたという50代の女性Aさんは、5年前から猫と暮らしていたのですが、3カ月前に猫アレルギーを発症しました。原因不明の咳が続いたため近隣の病院を受診したところ、血液検査の結果、猫アレルギーと診断されたんです。医師に「猫を手放しなさい」と言われたAさんは、「そんなことはできない」と抵抗しました。解決策を見出せないまま、次第に医師との関係も悪化していったそうです。
そこで当院を受診したのですが、Aさんは「5年前から猫を飼っていて、いままで何も起こらなかったのだから、私は猫アレルギーではない」と言うのです。しかし、猫アレルギーに限らず、毎日触れているものだからこそ、突然アレルギー症状が出ることはよくあるのです。
猫と一緒に暮らすための工夫
-猫アレルギーの人が猫と暮らし続ける方法はあるのでしょうか。
谷口:Aさんの場合、症状は咳だけでしたが、重症になると息苦しくなる、喘息発作が起こるなど、重症化することもあります。それでも、Aさんは猫のことを「生きがい」だと言っていたのです。普段は甘えてこないのに、Aさんの具合が悪いとそばに来て、ゴロゴロ喉を鳴らしてすり寄ってくるし、数日に一度はAさんの布団に入って朝まで一緒に寝るのですから、そう簡単に手放すことはできなかったのです。
猫が「生きがい」という気持ちは分かるのですが、猫アレルギーの症状を和らげるためには住環境を改善してもらう必要もありました。「猫を寝室に入れないように」と言ったのですが、「それはできない」と言うので、「できる限り入れない」ようにしてもらいました。