毎年飛散量が多いとニュースで言われている花粉。それに伴い花粉症に悩まされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に近年では子どもの花粉症が増加しています。子どもと大人の花粉症の違いや予防と対策について看護師が詳しく解説します。
子どもの花粉症は増えている?
大人の花粉症も増加傾向にあるようですが、子どもの花粉症も増えているのでしょうか。日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会がまとめている「鼻アレルギー診療ガイドライン 2020年版」によると、2019年の時点で5~9歳の子のうちスギ花粉症であると診断された子は30.1%というデータが報告されています。
つまり、5~9歳の子どものうち約3割の子がスギ花粉症に悩まされているということになります。ちなみに、このガイドラインを見ていくと2~9歳のスギ花粉症になっている子どもの割合は1998年で7.5%、2008年で13.7%となっています。つまり約10年で2倍近く増加しているということになるのです。
花粉症はアレルギーの一種
それでは、なぜこの10年でスギ花粉症である子どもが2倍近く増加しているのでしょうか。
花粉症はアレルギーの一種で、花粉に対しての抗体がたくさん作られ徐々に体内に蓄積されそれが花粉症としての症状を引き起こします。この抗体がつくられる原因として遺伝が最も考えられており、両親のどちらが花粉症であると抗体がつくられやすくなって花粉症になりやすくなると考えられています。
このほかにも2つの理由が考えられています。
▽食生活の変化と衛生状態の改善
動物性蛋白や食品添加物の摂取が増えるという食生活の変化はアレルギー体質を形成しやすいと考えられています。また、衛生状態が改善されたことも理由に考えられています。衛生状態が良くなったことによって体内のリンパ球のバランスが変化してしまい、抗体が産生されやすくなったことがアレルギー体質の子どもが増え、花粉症になりやすくなった理由ではないかと考えられています。
▽スギの木の増加
もう1つはスギ花粉症の原因となるスギ花粉を生産するスギの木が増加しているからです。戦時中や戦後に木材が大量に使われたことによって木材が不足しました。そこで、政府はスギやヒノキを大量に植えて国内の木材需要を改善しようとしました。しかし、その後海外からの木材の需要が認められ、植えたスギは使われずに適切な管理もされないまま放置され、このスギがどんどん成長して現在多くの花粉を飛散せるようになったと考えられています。
子どもの花粉症の特徴は?
子どもは低月齢であればあるほど大人に症状を伝えることが難しくなります。以下の症状があった場合には花粉症の可能性があると考えられます。
・鼻や目をかゆがる、しょっちゅう鼻をすする
・よく鼻を拭く
・よく鼻をこする
・口呼吸をしている
・いびきをかく
・目をかく
・目のまわりに黒いくまがある
・夜よく眠れていない、昼間にぼーっとする
【ママたちが子どもの花粉症に気づいたきっかけは?】
▽4歳になって保育園に入りました。外遊びが今までよりも増加したからか、円から帰ると目をかゆがるように。気になって受診をして検査をしてもらったら花粉症と診断されました。(Sさん、子ども6歳)
▽今年花粉症デビューしました。熱もないのに鼻を垂らすことが増えました。風邪かなと思って病院を受診したところ花粉症ではといわれました。両親ともに花粉症です。(Aさん、子ども4歳)
子どもの花粉症の治療方法は?
子どもの花粉症も大人と同様に症状によってお薬が処方されます。医師から処方された薬を指示通り使うことがおすすめです。
また、自分の子が花粉症かも……。と思ったときにどこの診療科を活用すればいいかわからないという方も少なくありません。
看護師の意見としては子どもの症状別に活用されることがおすすめです。例えば目がかゆいならば眼科、鼻水が出るならば耳鼻科などです。
子どもの診療もしてくれるところであれば、花粉症の診断をし、薬も処方してくれます。全ての症状があるあるいは判断に迷うという場合には小児科やアレルギー科を受診されることがおすすめです。
子どもの花粉症はどうやって対策すればいい?
子どもの花粉症も大人と同じく花粉の暴露を避けることが効果的です。ですが、子どもであるからこその難題があります。
子どもの場合、花粉の飛散量が多い時間に登園、降園をしたり、体育や外遊びをしたりするので花粉暴露時間が長くなりやすいと考えられています。
ですので、マスクやゴーグルなどを積極的に着用し、洋服も花粉が取れやすい素材のものがおすすめです。帰宅後は手洗いうがいと洗顔をし、可能であれば帰宅後すぐに入浴をしても良いでしょう。
【我が家の花粉対策はこうしています!!】
▽子どものこの時期の服装はナイロンパーカー!とにかくつるつるした素材のものをつけます。紙も結んで帽子の中に入れてとにかく花粉の暴露をさけています。(Aさん、子ども4歳)
▽マスクやゴールグルが嫌いですぐに取ってしまいますので、帰ったらすぐに風呂に入れています。今年はコロナのおかげで周りもマスクをしているため、積極的にマスクをしてくれるので例年よりも症状が軽い気がします。(Sさん、子ども6歳)
子どもの花粉症対策をして少しでも快適な春を
子どもの花粉症対策や治療は大人とほぼ同じと考えていただいて構いません。そのため、花粉症のご両親がいる場合にはご両親と同じ対策をお子さんにもしていきましょう。花粉に敏感な子が増えているからこそ、家族でしっかりと花粉対策をして、お子さんを花粉症から守っていきたいものです。我が家の2歳の子も最近になって目をかゆがるようになり、外遊びを拒否するようになりました。引き続きしっかりと花粉対策をして、少しでも快適な春を皆さんで過ごしていきましょう!