新型コロナ対策のため、466億円の税金を投入し、4月17日から全世帯に2枚ずつ配布されるアベノマスク。使い捨てではなく、洗って何度も使えるのですが、布マスクで新型コロナの感染予防はできるのでしょうか。感染症に詳しい太融寺町谷口医院の谷口恭先生に伺いました。経済産業省が推奨するアベノマスクの洗い方もご紹介します。
布マスクの穴は新型コロナウイルスよりも大きい
――布マスクが配布されますが、不織布でできたサージカルマスクやN95マスクとはどう違うのでしょうか。
谷口恭先生(以下、谷口) ウイルスは大きいもので約0.1um(マイクロメートル)で、新型コロナウイルスも同じくらいの大きさです。一方、サージカルマスクの穴は5um、コロナウイルスの50倍もの大きさの穴が開いているので、ウイルスはやすやすとマスクを通過してしまいます。N95マスクの場合は0.3umと小さいのですが、それでも完璧とは言えません。
――布マスクやガーゼマスクはいかがでしょうか。
谷口 布マスクやガーゼマスクは、素材や作り方によって穴の大きさが変わると考えられますが、サージカルマスクよりも大きな穴が開いていることは確実です。比較した実験では、布マスクはサージカルマスクよりも劣ることが分かっています。
「感染しないため」ではなく「感染させないために」
――ウイルスが通過するなら、布マスクをする意味が感じられませんが。
谷口 布マスクやガーゼマスクがまったく無駄かというと、そういうわけではありません。ガーゼマスクの穴は5um以上なのでウイルスを通してしまいますが、くしゃみや咳に含まれるしぶきの侵入を多少は防げます。また、自分が偶発的にくしゃみや咳をして大きなしぶきを飛ばしてしまう可能性もあるので、人が集まるところに行く時は、エチケットとしてガーゼや布マスクを付けるのは好ましいことです。
マスクは、「感染しないため」につけても効果がないので無意味です。しかし、「感染させない」ための効果はあるのです。特に、満員電車に乗る時や換気の悪い場所などでは、マスクをつけるようにしてください。あなたが偶発的にくしゃみや咳をすることがあるかもしれないからです。
――布マスクをする時に注意したいことはありますか。
谷口 すべてのマスクに言えることですが、表面が汚れているので、ひもの部分を持って取り外します。マスクの中央部は触らないでください。