名古屋市瑞穂区で昭和41(1966)年から営業を続ける「あらたまバッティングセンター」。50年以上という長い歴史があり、店内には地元ドラゴンズの選手のサイン色紙が飾られている。
同所は、剛速球にチャレンジできるのがウリだ。打席に立ち専用コインを投入したのち、球速調整のボタンを押せば70キロから5キロ単位で球速を上げられる。なお、通常時の最速は170キロ。人類最速のメジャーリーガー、アロルディス・チャップマンが2010年にマークした169キロを上回る速さを体感できる。
さらに、多くの野球ファンを驚かせるのが毎月第2木曜、第4月曜のイベント開催日。この2日間に限り、170キロをさらに上回る200キロ!!を体感できるのだ。球は軟式球。指定打席を選び、専用コインを入れてから球速を200キロに設定する。
それにしても200キロである。中学で野球部に所属し、6番ファーストを務めた筆者が、せんえつながらチャレンジしてみた。右打席に立ち、金属バットのグリップに力を込める。ピッチングマシン横には、ワインドアップで投げ込む投手の映像が映しだされるので、ややタイミングは取りやすい。
そう思った瞬間…、ものすごい速さのストレートが、まさにうなりを上げながらホームベース上を通過していく。最初の5球はバットを振ることもできない。打席後方に備え付けられる保護用ネットから「ズバン!!」という、とんでもない衝撃音が耳に届く。
そういえば取材で訪問した際、「今は200キロに挑戦されている方はいますか?」と安藤幹信社長(53)に尋ねた。「いないですね。200キロをやられている時は、音でわかりますから」。セリフの意味が理解できた。とにかくスピードと音が異次元だ。「せめてファウルだけでも」と切り替え、なんとか当てようと試みるが、結局、1球もバットをかすることはなかった。