2月16日に大阪市立美術館で始まった「フェルメール展」は2カ月間で入場者数26万人を突破した。今回は西日本では過去最多の6作品が展示され、その中には日本初上陸となるスキャンダラスでミステリアスな作品「取り持ち女」もある。開催すれば、間違いなく成功するというフェルメール展。“光の魔術師”が日本人にここまで受ける理由は何なのだろう。
そもそも、フェルメールが日本で大ブレークするきっかけとなったのが、今回と同じ大阪市立美術館で2000年に開催された「フェルメールとその時代展」だった。この時は5作品が展示され、60万人を動員した。
作品の内訳は「真珠の耳飾りの少女」「聖プラクセディス」「リュートを調弦する女」「地理学者」「天秤を持つ女」。特に青いターバンを巻いた「真珠の耳飾りの少女」が強烈なインパクトを残した。大阪での開催は、それ以来、実に19年ぶりとなる。
ヨハネス・フェルメールは1632年にオランダ・デルフト生まれ。若くして才能を発揮し、手紙を書く少女、室内で語り合う男女など穏やかな光に包まれた静謐な日常を描いた作品が多い。当時パトロンにも恵まれた人気の画家だったが、43歳で他界。一時は忘れ去られていたものの、19世紀半ばに再認識され、1990年代からは世界的に人気を集めるようになった。
フェルメール人気の秘密のひとつは、その希少性だ。寡作だったことから現存する作品がわずか35点前後。主催者側の話によると「ただでさえ作品が少ないのに、それらが欧米の美術館のあちこちに散らばっている。実際、作品を旅して回る巡礼ツアーもあるそうです」とのこと。「しかも、それぞれの美術館は作品を出したがらないし、同時期に借りるのは難しい。今回のように大阪に同時に6点来るのは次あるかどうか」と言う。