“人工知能刑事”誕生!今年から本格化するAI捜査の実態とは

小川 泰平 小川 泰平
ハロウィンの夜、ごった返す渋谷駅前。警察官だけでなく、防犯カメラも“目”を光らせている(共同)
ハロウィンの夜、ごった返す渋谷駅前。警察官だけでなく、防犯カメラも“目”を光らせている(共同)

 防犯カメラの画像から雑踏の中で不審者の顔を割り出した同事件は、AI捜査につながるサンプル事案でもある。この「不審者・不審物の抽出」に加え、「自動車の車種判別」や「疑わしい取引の分析」という3項目の実証実験が今後も行われていく。

 「不審者の抽出」でいうと、例えば、店舗内で客の動きをAIが分析し、万引き犯人を見分ける。顔認証システムによって、顔が見えない状況や、後ろ姿だけであっても、家族や友人であれば、その姿や歩き方で識別できるように、歩容(歩く様子)にはその人の個性が備わっている。

 「車種判別」から犯人を割り出すこともできる。車番(ナンバー)認証と同時に車種や色、年式、さらには運転手の顔も割り出せる。AIにはあらかじめ車両のデータを大量に学習させて記憶させておく。「疑わしい取引」とはマネーロンダリング(資金洗浄)などの金融犯罪。AIに過去の摘発事例を学習させ、取引現場での犯罪行為を“捜査”する。

 刑事は目と足と情報で活動していたが、これからはAIが占めることも多くなる。警察の捜査は既に防犯カメラに頼ることが多々あるが、それにも増して画像解析能力があがってくれば、車のナンバーや不審人物の顔が浮き出てくる。韓国では既に人工知能捜査官が活躍している。日本でも近い将来“AI刑事”が誕生することになるだろう。

 警視庁をはじめ、神奈川県警、福岡県警では今年から本格的にAI捜査を始める準備もしている。3月に東京ビッグサイトで開催される「セキュリティショー」では人工知能搭載の防犯カメラなどが展示され、その性能が検証される。AI捜査の現実化に向けて準備は進められている。

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