沢田研二の背中から見えた報じられない客席の真実~武道館で“共演”したレジェンド

北村 泰介 北村 泰介
阪神ファンとしても知られる沢田研二。ステージで「六甲おろし」を歌ったことも(2013年撮影)
阪神ファンとしても知られる沢田研二。ステージで「六甲おろし」を歌ったことも(2013年撮影)

 「かまやつひろしさん、平尾昌晃さん、井上堯之さん、デイヴ平尾、加瀬邦彦さん…。きっと、このステージに集まってくれているんじゃないかと思うんです。(ワイルドワンズの)加瀬さんはギター持って、(ゴールデン・カップスの)平尾は『俺なんて1曲しかないんだから。長い髪の少女~』って(笑)。そういう人たちのことを思いながら、少なくとも、あと10年は歌い続けたい」。沢田は80歳現役を誓った。

 その半面、選曲に懐古的な要素はみじんもなかった。ヒット曲といえば、1曲目「カサブランカ・ダンディ」(1979年)とラスト18曲目「ヤマトより愛をこめて」(78年)。2曲目に佐野元春のカバー曲「彼女はデリケート」を入れて、東日本大震災の原発事故で被災した福島を歌う「F.A.P.P」(2011年)と憲法9条への思いを込めた「我が窮状」(08年)を歌い継ぎ、昨年発売のミニアルバムから新たに4曲を披露した。

 3曲目の「お前なら」に注目した。71年のタイガース解散後に萩原健一とツインボーカルをとったバンド「PYG」と「危険なふたり」でソロ歌手としての地位を確立した73年の端境期にあった72年のアルバム「今僕は倖せです」の収録曲だ。自身が初プロデュースし、全作を作詞作曲という同作の「DIY(自身でやる)」精神は、まさに今の沢田に通じるスタンスだった。

 「昔はジュリー、今はジジイ」。本人は自虐的に笑わせるが、「お前なら」という47年前の曲を今歌うことによって、70歳になってもジュリーはジュリーであることを感じた。昨年7月から始まった今ツアーは、さいたまSAの代替公演、2月7日・大宮ソニックシティで完走となる。

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