このように、医学の進歩は「偶然」という要素が大きく関わってきました。ですが現代の医学は、病気の原因となるタンパクの形状を分子レベルで解明することから始まります。病原タンパクの構造や遺伝子を見ながら、どの部分を攻撃すれば病気を抑えられるか、あらかじめ計算して薬を作り、治療方法を決めます。
この新しい治療アプローチは、あらゆる疾患の研究に用いられています。ただそのためには、従来のスーパーコンピューターなら数カ月かかる計算を2~3日で成し遂げる「京」(理化学研究所:神戸市)クラスのコンピュータでなければ計算できません。
偶然から計算へ。医学はいま、大きく変貌しようとしているのです。