ただ、MaaSを進めていくにはいくつか気をつけたいポイントがあります。アプリがあっても、組み込める移動サービスがないとそもそも実現できません。また、地域全体で移動サービスを利用してもらう機会や頻度を、交通事業者が手を取り合って増やしていこうという姿勢が大切で、そのための組織や仕組みをどうつくるかが鍵になります。
先行して取り組む事業者は「MaaSは『まちの再構築』をするような視点で取り組む必要がある」とも話しています。MaaSには、金融、不動産、観光、医療・福祉、エネルギーなど数多くの分野が関係します。よりよいモビリティを考えることは、これからの暮らしや社会を考えることにつながっているのです。(モビリティジャーナリスト・楠田悦子)
◆楠田悦子(くすだ・えつこ)心豊かな暮らしと社会のための、移動手段・サービスの高度化・多様化と環境について、分野横断的、多層的に国内外を比較しながら考える。自動車新聞社のモビリティビジネス専門誌「LIGARE」初代編集長を経て、2013年に独立。自治体や国の有識者会議委員などもつとめる。ホームページ:https://www.leben-kurashi.com/philosophy-1