その要因のひとつが18年4月に直売所として九州最大の売り上げを誇ることで知られる「道の駅むなかた」の横にオープンした「宗像観光おみやげ館」だ。場所は世界遺産に登録されている宗像大社から車で7分ほど。地元の特産品や土産物が並ぶ中、人気を集めている銘菓が、その名も「宗像の女(ひと)」。有名な「博多の女」の二鶴堂がつくる姉妹品。観光協会の担当者は「宗像のあまおうイチゴを使ったものや大島の甘夏みかんを使ったものが大人気」と話してくれた。
期せずして、同年4月には、このエリアを代表するホテルのひとつ「玄海ロイヤルホテル」が24年の歴史に終止符を打ち「Royal Hotel 宗像」として生まれ変わった。これは世界遺産にあやかってのものではなく、27カ所の施設の名称やロゴを変えるという、ダイワロイヤル側のイメージ戦略の一環。「地域性を重視して“宗像”に変更しましたが、世界遺産の登録とタイミングがうまく合致しました」とのことだ。
昨年10月には「第37回豊かな海づくり大会」に訪れた天皇皇后両陛下がこのホテルで休憩と食事をされた。そんな名門ホテルの自慢は、このエリアでは珍しい温泉と良港の鐘崎港で取れた海の幸だ。
なかでも内田達也料理長(40)が腕をふるった「宗像三女神会席」はお勧めの逸品。ヤリイカのコリッとした食感と、その甘さに「九州に来たな」と実感。さざえの玉子とじ、地島産の「椿油」で仕上げた海鮮釜飯のつやと香りと滑らかさも絶品だった。
ホテル側によると「大島までは漁港からフェリーで25分ほど。“光の道”で有名な宮地嶽神社もここから近いですよ」とのこと。まさに“オール宗像”。なるほど、人気をキープしている理由が分かった気がした。