日々診療していますと、本当にいろんな人に接します。以前、こんなことがあったんです。
アルコールによって肝臓に障害をきたした患者さんがおられました。その患者さんに「お酒はやめましょうね。これ以上の肝臓への負担は命にかかわりますからね」とアドバイスをしました。その患者さんは男気のある人で、すぐに「よっしゃ、わかった!きょうからお酒は一切飲まへんで!約束する!」と応じてくれたのです。私は少しホッとして、診察室を立ち去るその人の後ろ姿を安堵の気持ちをもって見送っていました。
ところが、しばらくして患者さんの採血をすると、肝機能の改善は認められず、それどころか前よりも悪くなっていました。何より、対面しているとアルコール臭がするのです。正直、残念な気持ちになり、思い切ってその人に「お酒はやめて頂いていますか?」と質問しました。すると、「先生な、俺はな、あれから一切お酒は口にしてへん!してるのは、焼酎とビールだけや!」と…。