お酒は飲んでない!焼酎とビールだけや

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
診療室にはさまざまな患者さんが訪れます
診療室にはさまざまな患者さんが訪れます

 なるほどです。酒飲みに悪い人はいないと言いますが、その時の患者さんの表情からはとてもウソを言っているように思えなくて、一瞬がく然とはしましたが、微笑ましく思ってしまったのを覚えています。私も酒は嫌いな方ではないので、気持ちはよくわかるのですが「それは違いますよ」と再度、詳しく“お酒”について説明しました。

 その患者さん、その後も時々アルコール臭はするのですが、肝機能が改善しているのは確認できているので、少し安心しています。医療というのはその人の私生活、思想にまである程度は入っていかないと解決できないことが多いのです。だからといって、その人の私生活を土足で踏みにじることはできませんので、“一線”を超えないようにしながら、しっかり注意して話を聞かなければなりません。

 医者は本当に問診ができれば、それで診察のほとんどが終わる…とよく言われるように、治療に必要な情報を限られた時間で聞き出し、その見えない部分を探り出すことが大切だと考えています。第1回のコラムにも書きましたが、女性の“はじらい”が診察の妨げになっていたのも、その典型例ですね。うちの診察室に足を運んでくれる人と様々なやり取りを重ねていくことで、未熟な私も少しずつ成長させてもらっているんです。

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