「職場の飲み会や社員旅行など、業務時間以外でのコミュニケーションができるだけ少ない会社を若者は好む」というイメージを持っているなら、認識を改める必要があるかもしれません。
若年層の離職を防止するための施策を考えたい方に参考になる体験談と意識調査を紹介します。
新社長の一声で社員旅行や飲み会が中止になったけど
Aさん(関東在住、40代、会社員)は社員数300人以下の中小企業にお勤めです。基本的には中途採用が中心なこと、ここ数年の採用難で新卒学生を採用するのが難しいこともあり、社内の年齢構成は高めです。
そんなAさんの会社を創業した社長が引退することになり、伝手を辿って招聘したという新社長に代替わりすることになりました。
幸いなことに新社長はスムーズに会社に馴染んでいて、Aさんも「無事に会社が継承されてよかったなあ」と満足しています。
そんな新社長の新しい試みのひとつが、いびつになっている社員の年齢構成の是正でした。まずは新卒学生を採用しようとHPを刷新し、就職サイトでも求人を出して、なんと2人も新卒を採用することができたそうです。
「今の若い人たちにはオンオフの切り替えが大事らしい!」
せっかくの新卒学生、3年以内に離職することなく長く活躍してほしいから、制度や仕組みも働きやすい環境に整えていこうと新社長が出したアイデアのひとつが
「全社員集まって開催していた年に一度の忘年会や、数年に一度の社員研修旅行を廃止し、個別に利用できる福利厚生の選択肢を増やす」というものでした。
「プライバシーやプライベートを尊重する姿勢を会社として打ち出していこう。オンオフのメリハリが大事!」という考えの下、他にも若手社員のキャリアアップを支援するため、直接の上長だけでなく部署の責任者と半年に一度キャリア面談を実施する、資格取得のための受験料や書籍代などの全額補助など、新社長がこれまで活躍してきた会社での経験から取り入れた様々な新しい施策が導入され、Aさんも「社員旅行、楽しかったからちょっと寂しいけれど、これも時代の流れかな」と受け入れていたのですが…。
新入社員曰く「もっとコミュニケーションを取ってほしい」
久しぶりに新入社員が配属され、新社長の言う通り「オンとオフの線引き」をしっかりできるよう、他の社員が残業していても新入社員だけは定時で帰宅できるよう配慮しながら半年が過ぎ、初めての「キャリア面談」でのことでした。
なんと2人ともがそれぞれ「先輩社員とのコミュニケーションが少なく感じていて、会社に馴染めているのか不安」という悩みを抱えていた、ということが判明。
幸い素直に悩みを伝えてくれたため、様子を見ながら食事に誘ったり、休憩時間に趣味や休日の過ごし方について触れてみたりと工夫しているのだそうです。
新社長も「何事もバランスが大事」と方向転換してくれたそうで、年に一度の忘年会や部署ごとの打ち上げの補助などが復活したのだとか。
「思い込みって怖いですね」と、社長も管理職も反省しきりだそうです。
実は少数派「業務外コミュニケーションを求めていない新入社員」はわずか12.9%
東京商工会議所「2026年度 新入社員意識調査」によると、2026年度の新入社員のうち、87.1%は何らかの「業務外」コミュニケーションを求めています。
特に望ましいコミュニケーションとして、上位に入ったのは、昔ながらの身近な同僚とのランチや飲み会といった「日常のコミュニケーション」です。
・仲の良い同僚などとのランチ……48.6%
・オフィシャルな懇親会・飲み会……42.4%
・仲の良い同僚などとの飲み会……37.6%
案外、今も昔も変わらない部分なのかもしれませんね。
【参考】
▽東京商工会議所|「2026年度 新入社員意識調査」
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1209339