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「介護と子どもの面倒…夏休みが限界」親の世話を一人で抱える40代女性が知っておきたい「ショートステイ」の使い方【社会福祉士が解説】

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夏休みのにぎやかさとは裏腹に、どっと押し寄せる介護疲れに、息が詰まりそうになっている人がいます。

都内在住の40代前半女性、川崎りょうこさん(仮名)も、その一人です。川崎さんは小学生の子ども、夫、そして認知症初期で要介護2の70代の実母と暮らしています。普段はパートをしながら「私がやれば丸く収まるから」と、ワンオペ気味に介護をこなしてきました。

しかし、夏休みに入った途端、生活が一変します。普段は学校に行っている子どもが1日中家にいるため、3食の準備や大量の洗濯に追われます。そこへうだるような暑さが加わり、母の水分補給やトイレの介助、クーラーの温度設定をめぐる小競り合いが絶えなくなりました。母の世話と子どもの世話、そしてパートに追われるうち、日中の家事がおろそかになっていきました。食器洗いや洗濯物の片づけが終わるころには深夜になっていて、川崎さんの睡眠時間は4時間を切り、心身ともに限界を迎えていました。

ある朝、お味噌汁を食卓にこぼした瞬間、川崎さんは張り詰めていた糸が切れたように、涙が止まらなくなりました。

「あ、私、もう無理かもしれない……」

川崎さんのように、誰にも言えない限界を抱えている40〜50代の介護者は少なくありません。内閣府「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査(2016年度)」によると、介護と育児の両方を担っている、いわゆる「ダブルケア」の状態に陥っている人が全国に約25万人おり、その平均年齢は40歳前後です。また、厚生労働省「家族介護者支援マニュアル」では、家族介護者の4~6割が精神的・身体的・経済的な負担を感じていることに加え、「制度としての対応だけでは、介護者の孤立状況は改善できない」とも指摘されています。

悩む川崎さんは、同じように介護をしている友人から「ショートステイ」の話を聞いたことをきっかけに、自分と家族の笑顔を取り戻すため、動き始めました。川崎さんの解決策への道のりを一緒に見ていきましょう。

介護者が一時的に休めるショートステイとは?

ショートステイは、要介護・要支援の高齢者が施設に短期間宿泊し、食事や入浴の介助、レクリエーションなどを受けられる公的な介護保険サービスです。介護者が「疲れを癒やすためにリフレッシュしたい」という理由で利用することも、認められています。

◇ショートステイが利用できる人と2つのタイプ

ショートステイは、前提として国が定める「要支援1〜2」または「要介護1〜5」の認定を受けた人が利用できます。年齢は原則65歳以上ですが、特定疾病がある場合は40歳から利用できます。なお、要支援の場合は、名称に「介護予防」がつきます。

厚生労働省の基準に基づき、本人の健康状態(医療依存度)によって、以下の2つから選択する形になります。

・(介護予防)短期入所生活介護:特別養護老人ホームなどで提供される生活サポート型。食事や入浴の介助、レクリエーションなど日常生活の世話が中心です。

・(介護予防)短期入所療養介護:介護老人保健施設や病院などで提供される医療サポート型。たん吸引やインスリン注射、経管栄養など、医師や看護師による医学的管理や専門的なリハビリが必要な人が対象です。

◇費用の目安

費用は、介護保険が適用される「基本料金(1〜3割負担)」に、全額自己負担の実費(部屋代・食費・日用品費など)を合算して計算します。自己負担1割の一般的な世帯が「多床室(相部屋)」を利用した場合の1泊2日(2日分)の自己負担の総額目安は以下の通りです。

・短期入所生活介護:約5000円〜6000円
・短期入所療養介護:約5500円〜6500円

個室を選んだ場合や、施設の体制による加算、送迎の有無で費用は変動します。なお、住民税非課税世帯などには国の減免制度(補足給付)が適用され、食費や部屋代が大幅に安くなる場合もあります。詳細は、必ず担当ケアマネジャーにご確認ください。

ケアマネジャーへの相談から利用開始までの流れ

夏休みやお盆の時期は、ショートステイの枠が非常に混み合います。国や自治体の制度上、介護保険を適用して利用するためには「ケアマネジャーによるプラン作成」と「施設との事前契約」が必須で、一般的には以下の4ステップが必要となるため、早めに動き出すことが大切です。

◆ステップ1:ケアマネジャー(または窓口)への相談

利用したい日の1〜2カ月前を目安に、担当のケアマネジャーに「夏休みに少し休息を取りたい」「○月○日から数日間利用したい」と伝えます。

まだ介護認定を受けていない場合、まずは市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請を行うことが最初のステップになりますが、申請から要介護度の決定までに3~4週間ほどかかるため、注意が必要です。

◆ステップ2:ケアプランの作成と施設選定

ケアマネジャーが利用者の心身の状態や、家族の要望(部屋のタイプや必要な医療ケアなど)に合わせて地域から最適な施設を探し、空き状況を確認します。条件に合う施設が見つかったら、ショートステイの利用を組み込んだ「ケアプラン」の原案が作成され、利用者と家族の同意を得ます。

◆ステップ3:施設との事前面談と「契約」

利用の1〜2週間前、施設の生活相談員や看護師が自宅を訪問するなどして、事前面談を行います。本人の食事の形態、お薬、認知症の症状などを細かくヒアリングし、施設側が安全に受け入れられるかを確認した上で、重要事項説明を受け、事業者と文書による「利用契約」を直接締結します。

◆ステップ4:利用開始(入所)

利用当日、施設のお迎え車(送迎サービス)が自宅に来るか、家族が施設へ送り届けて利用開始となります。宿泊日数分の着替えのほか、普段飲んでいるお薬、お薬手帳、介護保険証などを忘れずに持参しましょう。

ケアマネジャーを通さずに直接、個人で施設に申し込んだり、介護保険の支給限度額(単位数)の枠を大きく超えて利用したりすると、介護保険が適用されず、原則として超過した部分は全額自己負担(10割負担)になってしまうことがあります。必ず事前に相談しながら進めましょう。

◇緊急時の対応について

川崎さんのように介護者が心身の限界に達しているなど、急を要する場合には「緊急短期入所」という対応もあります。緊急短期入所は、介護者の急病や事故、冠婚葬祭などやむを得ない事情で、すぐに介護ができなくなった場合に利用できる制度です。

自治体によっては利用のために事前登録が必要であったり、施設によって受け入れ体制が異なっていたりするため、まずは担当のケアマネジャーに状況を伝え、自治体への登録対応や、緊急短期入所が可能な施設を探してもらうことが重要です。

介護者が休むことも必要な支援である

「ケアマネジャーへ相談してから1カ月後に、母のショートステイの利用が決まりました。息抜きができるという事実だけでも、肩の荷が降りたような気持ちです」

川崎さんは安堵の表情を見せながら、そう語りました。

日本の介護保険制度において、ショートステイは単なる「お留守番サービス」ではありません。介護者が一時的に介護から離れて心身を癒やす「レスパイトケア(息抜き)」は、共倒れを防ぎ、在宅介護を長く続けるために必要な選択です。介護者が心身ともに元気でいることが、介護者本人にも家族にとっても、安心につながります。体調を崩す前の計画的な利用相談が、何より重要です。

「自分が我慢すればいい」と限界まで抱え込まず、まずはケアマネジャーに「休みたい」と正直に伝えてみてください。

【出典】
内閣府「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査(2016年度)」
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/ikuji_point.pdf
厚生労働省「家族介護者支援マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001236476.pdf
厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

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