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重要な仕事を任され、40代女性「認知症の母を、一人にしてしまう」 兄弟も近くにいるのに……介護と仕事の板挟みに

もくもくライターズ もくもくライターズ

「また母を一人にしてしまう…」

朝子さん(仮名・40代会社員)は、毎朝出勤する際に胸が締め付けられる思いでした。認知症の母を自宅で介護しながらフルタイムで働く日々。職場では大切なプロジェクトを任され、家では母の様子が気がかり。近くに兄弟が住んでいるものの、誰がどこまで担うのか具体的な話し合いをしないまま、気づけば朝子さんが中心になって動いている状態が続いています。「仕事を優先すれば母に申し訳なく、介護に時間を割けば職場に迷惑をかけている」という板挟みの状態が続いています。

家族の介護と仕事の両立。「もう少し頑張れるはずなのに」と自分を責めていませんか。「職場に迷惑をかけたくない」「家族のそばにいてあげられない」どちらを優先しても罪悪感が残り、心が削られていく…そんな板挟みに苦しむ人々は少なくありません。

このストレスは、どこから来るのでしょうか。そして、どう向き合っていけばよいのでしょうか。

「頑張りすぎてしまう」介護によるストレスの実態

実は、介護によるストレスの実態には典型的なパターンがあります。

▽時間の負担|終わりが見えない日々の疲労
仕事後に病院、夜は食事や入浴介助。休日も通院や手続きで休む暇がない。「自分の時間が消えていく」感覚は、知らず知らずのうちに心身を蝕みます。

▽費用の負担|介護費用と収入減のダブルパンチ
介護サービス利用料、交通費、生活費……。一方で残業や昇進をあきらめ、収入が減るケースも。経済的不安は、精神的ストレスをさらに増幅させます。

▽感情の負担|イライラする自分に自己嫌悪
どんなに親を思っても、介護には限界があります。
怒り、疲れ、そして「もっと優しくできたのに」という自己嫌悪。その繰り返しが、罪悪感のループを生み出していきます。

このような罪悪感が生まれてしまうことには、ふたつの理由があります。

・「親の面倒を見るのが当然」という社会的期待感
・「恩返しをしなければ」という親への責任感

日本社会では、親の介護を子が担うことが当たり前とされてきたことが、上記のような罪悪感を生み出すと言います。

一方で、「罪悪感は優しさの裏返しであるから、その気持ちを責める必要はない」という意見もあります。罪悪感を悪者にせず、愛情のサインとして受け止める視点も大切です。

介護によるストレスから心を守るためのポイント

それでは、介護によるストレスから心を守るためにはどうすれば良いでしょうか。3つのポイントをご紹介します。

1.セルフケア
「自分のことはあとでいい」と思いがちですが、睡眠・食事・趣味などの時間は回復の時間です。
心の余裕が、介護の質を支えます。

2.境界線の引き方
「できること」と「できないこと」を明確にしましょう。ここでいう境界線とは、介護そのものを途中で止めるということではありません。「全部自分一人でやらなければ」「もっと完璧にできるはず」という思い込みに線を引くということです。例えば、「夕食作りはヘルパーさんに頼む」「兄弟に週末の見守りを交代してもらう」など、すべてを自分で背負わない選択をすることで、罪悪感は少しずつ薄れていきます。

3.家族会議の進め方
兄弟やパートナーと役割を共有し、誰かが全部背負う状態を避けることが重要です。「今週は誰が病院付き添い?」「どこまで在宅で見る?」といった具体的な話し合いが、精神的な負担を減らします。

上記のような3つのポイントが、自分自身の心を守るために必要と言えるでしょう。

一人でストレスを抱え込まず、勇気を持って相談・共有する

介護は一人で抱え込まず、下記のようなサービスを利用するなどして相談・共有する勇気を持つことも重要と言えます。例えば、以下のような支援制度やサービスがあります。

・在宅支援:病気や障害を持つ人や高齢者が、自宅で生活しながら必要なサポートを受けられる仕組み・支援サービス

・ショートステイ:介護が必要な高齢者が一時的に施設へ短期間入所し、生活支援や介護を受けられるサービス

・地域包括支援センター:高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるように、介護・医療・福祉等、生活全般の相談を受け付ける公的機関

介護費用の負担が大きいときは、ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談しましょう。介護保険の負担限度額認定や、自治体独自の助成制度などが利用できる場合があります。

経済的な理由で介護サービスの利用を控えてしまうと、かえって心身の負担が増してしまうこともあります。制度と仕組みを活用し助けを借りることは、決して親不孝でもなく、罪悪感を感じる必要もないことです。

介護と仕事の両立は、誰にとっても完璧にはできません。だからこそ、できない自分を責めずに、できたことをひとつずつ認めていきましょう。家族を思う気持ちは、どんな形でも確かに届いています。そして、自分を大切にすることもまた、立派な「親孝行」です。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

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