「農薬を使わないというのは、こういうこと」
この一言とともに、「農夫の荒川 a.k.a viptan」さん(@viptanfarming)が投稿した虫食いだらけのキャベツの写真が593万回以上表示され、話題になっています。
投稿された写真には、葉がほとんど食べ尽くされ、葉脈(葉の筋)だけが残った姿が写っています。その翌日には、「ちなみに、農薬を適切に使うというのはこういうことだよ」の一言とともに、スーパーで並んでいるような形のよいキャベツの写真も投稿。
2枚の写真の明らかな違いに、「思った以上だった」「虫の食欲がすごい」「家庭菜園で同じようになりました」「葉脈だけ残っていてアートみたい」といった声が寄せられています。
何かと批判されがちな農薬ですが、写真を見るとその必要性を感じます。「農夫の荒川 a.k.a viptan」さんに、写真の背景を聞きました。
「ほったらかし」から見えた農薬の役割
今回のキャベツについて、「農夫の荒川 a.k.a viptan」さんは「特に農薬不使用で育てたかったわけではありません。庭になんとなく植えたまま、ほったらかした結果です」と話します。
キャベツにはチョウやガの幼虫、アブラムシ、アザミウマなど、さまざまな害虫が付きます。屋外の畑(露地)で農薬を使わずに育てることが不可能なわけではありませんが、害虫を目視で捕まえたり、防虫ネットで侵入を防いだり、病気になりにくい環境を整えたりする必要があります。
「農薬を使う方が、コストは低く生産性も高く、収穫も安定します」と「農夫の荒川 a.k.a viptan」さんは説明します。
農薬に対してネガティブなイメージを持つ人も少なくありませんが、「農夫の荒川 a.k.a viptan」さんは「昔の強い薬剤のイメージが残っている人も多いのでは」といいます。
現在使用されている農薬は、適切に使えば人体や作物、環境への影響はないとされており、農業において重要な役割を担っているとのこと。農薬によって収穫量が安定し、品質が保たれることで、消費者は比較的手ごろな価格で野菜を購入できます。また、農家が経営を続ける上でも、農薬は欠かせない存在だといいます。
実際に「農夫の荒川 a.k.a viptan」さんの畑では、3月上旬に植えたキャベツに対し、10日から2週間に1回程度、栽培期間中に5、6回ほど農薬を散布しているそうです。
虫食いだらけのキャベツの写真に寄せられた反応について聞くと、「虫の旺盛な食欲に驚いたという声が、ほとんどでした。自分の家庭菜園でも同じようなことが起こった、葉脈だけ残るのがアーティスティックだという声もありました」とのこと。一方で「少数ですが、農薬を批判したり、農薬を使わない農法(オーガニック)を擁護したりする意見もありました」と話します。
プログラミング専攻から農家へ、農業歴15年
「農夫の荒川 a.k.a viptan」さんが農業を始めたのは、約15年前のことです。大学ではプログラミングを専攻していましたが、就職活動がうまくいかなかった時期に知人から紹介を受け、農業の道へ進んだそうです。
「もともと強い意志で農業をしたかったわけではありません」と振り返ります。
それでも15年間続けてこられた理由について、こう話します。
「身体を動かして汗をかいて働くのは、なかなか気分のいいものです。苗を植えてから無事に収穫までたどり着けたときには、大きな喜びを感じます」
「農夫の荒川 a.k.a viptan」さんの投稿をきっかけに、農薬の役割や農業の現実について、改めて考えさせられた人も多かったようです。