「コーン被りすぎで何が何だかよくわからないモモ太」
そんなコメントともにXに投稿された写真には、赤や青のカラーコーンを頭からすっぽりとかぶり、もはや顔が一切見えなくなってしまったホッキョクグマの姿が写し出されています。このクスッと笑える決定的な瞬間を撮影したのは、さとぱんさん(@pandalove202209)です。
撮影された場所は、秋田県男鹿市戸賀塩浜にある水族館「男鹿水族館GAO」。写っているのは、同館で暮らすホッキョクグマの男の子「モモ太」くんです。モモ太くんは2025年12月4日に誕生したオスのホッキョクグマの赤ちゃん。一般公募を経て命名され、母親の「モモ」と父親の「豪太」から文字を受け継いだその名前の通り、元気にすくすくと成長しています。
このあまりにも独創的な遊び姿を捉えた投稿には、瞬く間に7600件超の“いいね”が寄せられ、多くの人々を笑顔にしました。当時、どのような状況だったのでしょうか。お話をうかがいました。
エサの時間に始まったおもちゃ遊び
撮影が行われたのは、開館して間もない時間帯。投稿者さんがホッキョクグマの展示場に足を運んだとき、モモ太くんはすでに夢中で遊び始めていたそうです。
「モモ太は、お母さんのモモと一緒にエサをひとしきり食べたあと、倒れて4つ重なっていたカラーコーンに興味が向き、遊び始めました。かぶって首で持ち上げて歩いたり、勢いよく立ち上がったりしていました。その一場面を撮影したものです」
顔が見えなくなるほど豪快にコーンをかぶっていたモモ太くんですが、実はこのコーンがきれいに重なっていた背景には、お母さんであるモモちゃんの行動と、水族館ならではの奥深い理由があったようです。
「つい先ほどSNS上で冒頭の様子を教えていただいたのですが、カラーコーンは4つ重ねで立ててセッティングされていたそうです。そして、入場したお母さんのモモがカラーコーンを倒したようです。モモは、カラーコーンの下にエサが隠されていないか確認したのだと思います。GAOでは、近隣に生息する野生のカラスやトンビがエサを盗んでいくことがあるためか、エサを遊具の下に隠すことがよくあります。しかし、カラーコーンを分散して置かず、重ねて置いたのは、飼育員さんが動物たちを飽きさせないように工夫されているのだと思います。こうした工夫によって、動物たちが潜在的に持つ隠れた能力を目にすることがあります」
たくましさは母譲り? 目撃した来館者、大盛り上がり
顔をすっぽり覆うほど何重にも重なったコーンを持ち上げるモモ太くんの姿に、投稿者さんも周囲の観客も大興奮だったといいます。当時の驚きと感動を語ってくれました。
「『え? 4つ重なったまま、かぶって持ち上げるの!?』と、とても驚きました(笑)。カラーコーンは樹脂製とはいえ、4つともなればそれなりの重さがあると想像します。自身の体長とさほど変わらない大きなものを、首の力で軽々と持ち上げることができる。まだ生後半年足らずの子どもなのに、その高い身体能力に驚かされました。野生であれば、過酷な自然環境の中で子ども時代を生き残るため、必要な身体能力の一端を目にしているのだろうと感じ、貴重な機会になりました。そして、モモ太が順調に育っていることもうかがえて、うれしい気持ちになりました。もちろん観覧エリアは盛り上がっていましたし、笑顔でいっぱいに。このあとは、モモがエサを食べ終えると、モモ太は母に飛びかかって戯れたり、また遊具で遊んだりと、元気いっぱいな様子でした」
2025年12月生まれのモモ太くんにとって、この時期はまだ生後半年足らずの赤ちゃん期。その小ささでコーン4つ分の重さをコントロールする姿に、ホッキョクグマとしてのたくましい未来が見えたようです。投稿者さんは、モモ太くんの公開直後からその成長を優しく見守り続けています。
「一般公開直後から定期的に観覧しています。展示場デビューしたころの初々しさから徐々に変化し、最近は所狭しと駆け回ったり、プールに飛び込んで泳いだりと、元気いっぱいです。今回の場面は、モモ太の成長過程で忘れられないエピソードの一つになりました。おてんばで、ダイナミックなアクションで魅了するモモ。そんな母譲りのホッキョクグマに成長するだろうという予感がします」
投稿者さんが語る「男鹿水族館GAO」に通う理由と動物たちの魅力
今では定期的に同館へ通うほど動物たちに魅了されている投稿者さんですが、水族館や動物園を本格的にめぐるようになったのは、ある日常の制限があった期間のできごとがきっかけだったそうです。
「コロナ禍でなかなか外出もままならない時期に、白浜町のアドベンチャーワールドでジャイアントパンダの楓浜が生まれ、成長の様子が毎日動画配信されていました。とても小さく、一見弱々しく見えるパンダの赤ちゃんが、その後どうなったのかなと気になって見ていたことが、クマの仲間に興味を持つきっかけになりました。そしてGAOでも、同じころにホッキョクグマのフブキが誕生し、成長の様子を動画で配信していました。わりと近場にも希少な動物を飼育する施設があることが分かり、直接見てみたいという思いが強くなっていきました。その後、移動の自粛が解除されたタイミングで訪れてみたところ、すっかりハマってしまった感じです。GAOは交通手段が限られていて、行くには少し敷居の高い施設ですが、動物たちはみんな個性的で目が離せないため通っています」
画面越しに出会った命の輝きに引き寄せられ、実際に足を運んだことで、その魅力のとりこになったという投稿者さん。男鹿水族館GAOならではの見どころや、飼育員さんへのリスペクトについても、深く教えてくれました。
「GAOでは、アザラシやアシカのエサの時間に、ハズバンダリートレーニングや健康管理の一環として、定期的な体重測定などの様子を一般公開しています。飼育員さんが観覧者に分かりやすく解説してくれるので、とても学びになります。GAOの飼育員さんたちは、ボールや輪っかなどの遊具を使った運動を通じて、動物たちの隠れた才能を引き出すのが、とても上手です。エサの時間は純粋に楽しいですし、普段との違いから体調の変化に敏感で、適切に対処していることもうかがえます。そこから興味が尽きず、近県の施設にも足を延ばしているところです」
今回のユニークな投稿のコメント欄には、ほほ笑ましいモモ太くんの姿に心を奪われたユーザーから、たくさんのにぎやかなメッセージが寄せられています。
「欲張りさん」「かわいすぎる」「独創的なクマだ」と、そのユーモラスな遊び方にメロメロになる声をはじめ、「どうやって被ったの?」「ちょっと! 被りすぎ(笑)」「上手く重ねて器用に被れるものなのね」といった、思わず突っ込まずにはいられない様子のリプライが相次ぎました。さらに、「凄いわ!賢くかわいいモモ太」「ほんと天才だと思うw」「3コーンかぶりは世界新記録だね」「見慣れない生物が爆誕してる」など、モモ太くんのずば抜けたセンスと高いポテンシャルを大絶賛する声も多く集まっています。
飼育員さんの遊び心あふれる工夫と、それに見事に応えてみせたモモ太くん。これからも、お母さんの背中を追いかけながら、たくさんの笑顔を届けてくれることでしょう。